<W杯欧州予選:アイルランド2-0ポルトガル>◇13日(日本時間14日)◇F組第5戦◇ダブリン(アイルランド)ポルトガル…
<W杯欧州予選:アイルランド2-0ポルトガル>◇13日(日本時間14日)◇F組第5戦◇ダブリン(アイルランド)
ポルトガル代表のスーパースター、FWクリスティアノ・ロナウド(40=アルナスル)が肘打ちで一発退場となった。代表226試合で初めてのレッドカード。これにより「最後」と位置付ける来年のワールドカップ(W杯)北中米大会の1次リーグ2試合が出場停止となる可能性が高まった。
0-2とリードされた後半15分、フラストレーションを爆発させた。ゴール前、ボールのない局面でアイルランドDFオシェアと激しく体をぶつけ合い、背後から右エルボーで倒した。当初はイエローカードだったが、VAR介入によるオンフィールドレビューでスウェーデン人のグレン・ニーベリ主審はレッドカードへ切り替え提示した。
ロナウドはピッチから下がる際にアイルランドのヘイミル・ハルグリムソン監督と互いに歩み寄って口論。最後は皮肉るような態度で握手をかわし、挑発的な敵地サポーターに拍手してロッカーへと消えていった。
この“事件”の背景について英BBCが詳しく伝えている。
ロナウドにとってこのスタジアムは思い出の場所だった。16年前にレアル・マドリードへ移籍し、初戦となったプレシーズンマッチを戦った場所だ。前日会見で「ここに帰ってこられてうれしい」と話していた。一方で、敵将ハルグリムソン監督が審判団にロナウドの影響を強く受けないよう求めていたことを受け、「心理戦を仕掛けている」と非難していた。
両者には伏線があった。10月にポルトガルで対戦した試合(1-0でポルトガルが勝利)では、ハルグリムソン監督が「ロナウドが審判をコントロールしていた」と苦言を呈していた。それを返すようなロナウドの発言。試合前日に勃発した相手監督との神経戦が試合のピッチでも展開され、実際のプレーでも執拗(しつよう)なマークにストレスを感じていたロナウドは、ついに爆発してしまった。
ピッチから去り際のやり取りを問われたハルグリムソン監督は「ロナウドは、私が審判にプレッシャーをかけていたと褒めてくれました」と明かした。そして「レッドカードを受けたのはピッチ上の彼の行動です。私が彼の心に入り込んでしまったのなら別ですが、私には何の関係もありません」と断じた。
ロナウドにとっては敵将との丁々発止の心理戦が裏目に出てしまった。ポルトガル代表のマルティネス監督は「レッドカードは、226試合に出場して一度も退場処分を受けていないキャプテンに与えられたものだ。(退場がないことは)むしろ称賛に値する。ただカードは厳しいものだと思う」などと擁護した。
FIFAの懲戒規定によると、肘打ちや殴打といった違反行為には「少なくとも3試合」の出場停止処分が科される。公式戦にかかるもので、W杯切符が決まる次戦のアルメニア戦は出場停止となった。その上で本大会ストレートインした場合は、W杯1次リーグが対象となってくる。つまり初戦と2戦目もアウトとなる。
今後の運命は懲罰委員会の裁定によるが、「思い出深い」ダブリンで暗転した。前人未到、史上初の6度目のW杯出場という大記録。その有終の美を飾るべき舞台はおぼろげなものとなってきた。