プロ野球の発展に寄与した野球人を表彰する第49回「正力松太郎賞」の選考委員会が13日、都内で開かれ、ワールドシリーズでM…

プロ野球の発展に寄与した野球人を表彰する第49回「正力松太郎賞」の選考委員会が13日、都内で開かれ、ワールドシリーズでMVPに輝いたドジャースの山本由伸投手(27)が初めて特別賞に選ばれた。

「正力松太郎賞」はソフトバンクを日本一に導いた小久保裕紀監督(54)が初受賞した。メダルと、小久保監督には500万円、山本投手には300万円が贈られる。

   ◇   ◇   ◇

山本は日本の投手として初めてワールドシリーズで3勝を挙げ、MVPを獲得した。第6戦、第7戦に連投して優勝を決めるなど、圧倒的な投球内容が高く評価された。選考委員会の座長を務める王貞治氏(85)は「ワールドシリーズで3勝というのは並大抵ではない。チームの期待とファンの願いに見事に応えた。日本人投手の意気込みを示した」と称賛した。

山本は今季30試合に登板し12勝8敗、防御率リーグ2位の2・49、201奪三振を記録。ポストシーズンでは6試合で5勝1敗、防御率1・45と圧倒し、特にブルージェイズとのワールドシリーズでは4勝のうち3勝を挙げた。3勝3敗で迎えた第7戦は、4-4の9回1死一、二塁から6番手でリリーフ登板。6回1失点で勝利投手となった第6戦から連投だったが、2回2/3を無失点に抑えて世界一へと導いた。

選考委員でジャーナリストの門田隆将氏(67)は「全米で5000万人が視聴したとされる第7戦の勝利は、高校野球を思わせる情熱だった。日本人ここにありというピッチングだった」と、全会一致で特別賞に決まった理由を説明した。

昨年はドジャース大谷が2年連続3回目の特別賞を受賞した。王氏は「大谷君も特別賞に値するほど素晴らしい活躍だったが、今年はまだ受賞していない山本投手をたたえたいということだった」と明かした。内規では「プロ野球のセ、パ両リーグの競技者を対象にするもの」とあり、本来の枠を飛び越えた特別賞という形での受賞となった。

山本はオリックス時代に21年から3年連続で沢村賞を受賞。メジャー2年目での歴史的快投で日本球界の名を高め、正力賞を獲得した。【鳥谷越直子】