守備のベストナインを選ぶ「第54回三井ゴールデン・グラブ賞」が12日に発表され、阪神・佐藤輝明内野手(26)が三塁手部…
守備のベストナインを選ぶ「第54回三井ゴールデン・グラブ賞」が12日に発表され、阪神・佐藤輝明内野手(26)が三塁手部門で初受賞した。佐藤輝は1年間の取り組みの成果を口にするとともに、さらなるレベルアップを誓った。同賞には村上、坂本、大山、中野、近本、森下も選出され、2004年の中日(6人)を超えるセ・リーグ史上最多7人の受賞となった。
まばゆいばかりに輝く勲章は、ひたむきに重ねた努力の結晶だ。虎のホットコーナーを守り抜いた佐藤輝がゴールデングラブ賞初受賞。球団を通して、取り組みの成果と感謝を口にした。
「田中コーチとキャンプから取り組んできたことが一つ形になったと思います。支えてくれた全ての方に感謝したいです」
今季は三塁で111試合に出場し、91刺殺、160補殺を記録。守備率・977は両リーグ最高を誇った。失策数はわずか6。2023年の20失策、昨年の23失策から大きな飛躍を遂げ、名手の仲間入りを果たした。
佐藤輝が名前を挙げた田中コーチとの特訓は、1年前の春から始まった。5月14日・中日戦(豊橋)で痛恨の失策を犯し、2軍降格。翌朝、鳴尾浜へ向かうと、同コーチのノックを浴び続けた。汗と泥にまみれた日々が転機となり、今季もひたむきに努力を重ねた。
試合前はドジャース・ベッツらも行う小型グラブを用いた練習メニューでハンドリングを強化。4月3日・DeNA戦(京セラ)では、昨年まで課題にしていた三塁線の打球を好捕し、一塁へジャンピングスロー。華麗なグラブさばき、正確な送球と、強肩を生かしたダイナミックなプレーで何度もチームを救った。
「去年の悔しさを持っていろんなことをやりながら、成果があったんだと思う。リズム、感覚ができて自信をつけた」。田中内野守備走塁コーチがそううなずくと、藤川監督も「普通にまっすぐ野球人生を歩んでいたら、エラーすることも、ファインプレーすることもあるだろうし。結果がご褒美としてついてくる」と試合に臨む姿勢をたたえた。
佐藤輝の守備力向上とともに、チーム失策数も大幅に減り、今季57失策はリーグ最少となった。阪神からは村上、坂本、大山、中野、近本、森下も同賞を受賞。指揮官は「心の揺れ動きがなかった。素晴らしい」。堅守の虎が、史上最速リーグ優勝の原動力だった。
「まだまだ課題も残っているので、さらに上を目指して頑張りたいと思います」と佐藤輝。来季も同賞に輝けば、三塁ではミスタータイガース・掛布雅之(6度)以来の複数受賞となる。千両役者はバットだけでなく、守備でも魅せる。さらに磨きをかけ、名手の階段を駆け上がっていく。