広島・遠藤淳志投手(26)が秋季キャンプで新球・ツーシームの習得に励んでいる。直球と同じ140キロ台中盤の球速帯で、少…
広島・遠藤淳志投手(26)が秋季キャンプで新球・ツーシームの習得に励んでいる。直球と同じ140キロ台中盤の球速帯で、少しだけ変化する軌道を理想とし、黒田球団アドバイザーからの助言をヒントに習熟度を高めている。力感のないフォームから強い球を投げ込み、フォームとボールの“ギャップ”を作ることにも注力。来季の1軍定着へ、逆襲の土台を整えていく。
ゆったりとしたワインドアップから、威力十分の球を投げ込んでいた。秋季キャンプに参加中の遠藤は、7日に実施された紅白戦で3回2安打無失点と好投。「しっかりストレートもコースに投げ切れていた。今試しているツーシームも、いい感覚のものと、そうではないものがあった。(いい感覚のツーシームを)数多く投げられるように」と現状分析しながら次の段階を見据えた。
10月の秋季練習からツーシームの習得に着手。黒田球団アドバイザーにも軌道をチェックしてもらい、良化のヒントを教わった。「自分はボール球でもいいと思って投げていた。(黒田さんには)ゾーンに残すというか、低めに集めて打たせて取るイメージの方が、投球の幅が広がるという話をしてもらった」と明かした。
黒田アドバイザーは現役時代、代名詞のツーシームを武器に日米通算203勝。“最高のお手本”から極意を吸収し、一定の手応えを得た。「真っすぐと同じ強さで(打者の手元で)少し動くぐらいのイメージで投げることができていると思う」とうなずいた。
もう一点、力を注いでいるのが力感のないフォームの習得だ。1軍で34試合に登板した19年、20試合に登板した22年シーズンなどは「フォームの力感とボールのギャップが、すごくあった」と振り返る。しかし近年は「力を入れたなりのボールしかいってないな、と感じた」と自らの良さが影を潜めていたという。
フォームの力加減と同程度のボールなら打者に“誤差”を感じさせることが難しくなる。しかしフォームの力感以上のボールを投げ込むことができれば打者を差し込み、ファウルでカウントを取れる。キャッチボールの段階から脱力を意識。「(球の)質も良くなっている。良かった時の感覚を思い出しながら。体も変わってきているので、そこに戻るのではなく“新しい自分”を理解しながら体を使えれば」と進化を図る。
1軍登板は昨季が3試合で、今季が7試合と悔しいシーズンが続いている。「闘志むき出しの感覚でやらないと、来年で終わってしまうと思う。来年が最後だという覚悟を持って、しっかり取り組んでいきたい」。危機感も胸に刻み、巻き返しに向けて前進していく。
◇遠藤 淳志(えんどう・あつし)1999年4月8日生まれ、26歳。茨城県土浦市出身。186センチ、90キロ。右投げ右打ち。投手。霞ケ浦高から2017年度ドラフト5位で広島に入団。2019年8月21日・ヤクルト戦に救援登板し、1回無失点でプロ初勝利。2020年には自己最多の5勝をマークした。通算成績は93試合の登板で12勝21敗1セーブ、6ホールド、防御率3.90。