「大相撲九州場所・3日目」(11日、福岡国際センター) モンゴル出身の“史上最強の新弟子”旭富士(23)=伊勢ケ浜=が…
「大相撲九州場所・3日目」(11日、福岡国際センター)
モンゴル出身の“史上最強の新弟子”旭富士(23)=伊勢ケ浜=が前相撲に臨み、天昇山(玉ノ井)を寄り切り白星で飾った。横綱のしこ名継承を自ら提案した先代師匠の宮城野親方(元横綱旭富士)、現師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)が期待を寄せた。幕内は横綱大の里が若隆景を押し出し3連勝。横綱豊昇龍は霧島を寄り切り2勝目。大関琴桜は小結高安の内無双に屈し、2敗目。無敗は大の里、関脇安青錦、藤ノ川、朝紅龍と早くも4人となった。
約34年ぶりに旭富士のしこ名が本場所に響いた。前相撲では異例の約200人の観客から大きな拍手が起こった。伊勢ケ浜部屋のYouTube、SNS等を通じて相撲好きの間で注目を集める“史上最強の新弟子”の期待感が表れた。
同じモンゴル出身で身長197センチの天昇山は東洋大で実績を残し、十両相手に稽古を行う有望株。それでも旭富士は両前みつを引き、じりじりと寄り進み、最後は腰を落として寄り切った。
旭富士は緊張を問われ「ないです」。しこ名を呼ばれたことには「慣れていない感じ」。喜びを問われ「はい」と話すにとどめた。伊勢ケ浜親方の「新弟子が注目されても困る」と多弁を控えさせる方針のためだ。
相撲留学した神奈川・旭丘高時代は大きな実績はない。卒業後、伊勢ケ浜部屋で4年半を過ごし、伯桜鵬ら6人の関取衆と互角以上に渡り合うまで成長した。伊勢ケ浜親方は「(アマの)タイトルがなくても、相撲部屋で稽古を積めば強くなることを証明してほしい」と期待を寄せた。
今夏に自身のしこ名を継承させることを提案した先代師匠の宮城野親方は「4年半、辛抱して頑張ってきた。(旭富士の)しこ名をつけることで今以上に頑張ってくれる。大関、横綱?そこまではいってほしい。1、2年前から部屋で一番強い」とキッパリ。常幸龍が持つ序ノ口デビューから27連勝の記録更新も「期待しています」と語った。
◇旭富士英毅(あさひふじ・ひでき) 本名バトツェツェゲ・オチルハイサン。2002年5月17日、モンゴル・ウランバートル出身。ボクシングなど経験し、18年春に神奈川・旭丘高に相撲留学。高2で世界ジュニア選手権個人重量級3位。卒業後の21年春に伊勢ケ浜部屋の研修生に。外国人出身力士は1部屋1人までの規定により、横綱照ノ富士の現役引退を待って今年秋場所の新弟子検査に合格。家族は母。叔母はレスリングで21年東京など五輪3大会出場のブルマー・オチルバト。身長185センチ、体重150キロ。しこ名の名前は部屋後援者から。