虎党の願いが届いた!阪神の近本光司外野手(31)が11日、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使せずに残留…
虎党の願いが届いた!阪神の近本光司外野手(31)が11日、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使せずに残留することを発表した。球団と計10時間に及ぶ話し合いの末、来季もタテジマに袖を通すことを決断し、5年契約で球団史上最高の総額25億円で合意。兵庫県西宮市内の球団事務所で会見し、「甲子園でファンの方の歓声の中で野球を続けたい」と来年以降もリードオフマンとしてチームを支えていく決意を語った。(金額は推定)
異例の長時間交渉を終えた近本の表情には、疲労感より充実感が漂っていた。笑顔で会場に現れると、しっかりと前を見据えて言葉を紡いだ。
「今回、FA権を行使せず、残留することを決めました」
10月30日の終戦以降、権利行使の締め切りとなったこの日まで悩みに悩んだ。「めちゃくちゃ長かったです」。思わず笑みをこぼしながら、語った本音だった。前日に球団事務所を訪れていたが、この日も午前10時から交渉の場に。日が暮れても決着はつかず、話し合いは計10時間に及んだ。「期限がある中で、自分の決断と自分の思いと、本当に悩みました」。最後は自分の意思で決めた。球団が宣言残留を認めていた中、FA権を行使せずにまたタテジマを着ることを決意した。
兵庫県の淡路島出身で、社、関学大、大阪ガスと歩み、小さい頃から阪神を見てきた。地元球団に2018年度ドラフト1位で指名され入団。FA権を行使して他球団の評価を聞く選択肢もあったが、「甲子園で7年間やってきて、ファンの方の歓声の中で野球するっていう素晴らしいことを、これからも続けたい、その中で楽しく野球したいなと思いました。それに代わる物はないかなと」。これが行使せずに残留した最大の決め手だった。
今季は140試合に出場し、打率・279、3本塁打、34打点。32盗塁で4年連続6度目の盗塁王を獲得し、生え抜き最速となる通算1000安打も達成した。通算打率・288を誇り、ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞をそれぞれ4度受賞するなど、スターの階段を駆け上がってきた。球団からは「コンスタントに毎年大きなケガなく、成績を安定して残してくれた」と評価された。
近本は「すごい成績を残せたかって言われるとそうではない」と話した上で、「引退に近づいてくるので、安定して常に期待に応えられる選手でこれからもいたい」と誓った。野球以外で考えることはなかなかないだけに悩みもしたが、「いい経験ができた」と笑顔。一方で「ファンの人もメディアの方も含めて、遅くなって申し訳ない」と人柄も垣間見えた。
入団してからは優勝を目標とし、プロ7年間で2度も達成した。これからもその思いは変わらない。「ファンの人と球団の人と、チームメートと、それに関わるような人と、また喜びを分かち合いたい。それをモチベーションに、(阪神は)個人的にも今までよりも楽しく野球できたらいいなと思える球団です」。球団史上初の連覇、日本一奪還へ、来年以降も近本が大きな原動力となる。
◆阪神の過去の主な大型契約 2014年オフに海外FA権を行使して残留した鳥谷敬が、5年総額20億円で契約。24年オフには国内FA権を行使して残留した大山悠輔が、5年総額17億円プラス出来高で契約している。なお、阪神では5年契約が最長。
◇近本 光司(ちかもと・こうじ)1994年11月9日生まれ、兵庫県出身。社-関学大-大阪ガスを経て、18年度ドラフト1位で、阪神入り。藤原恭大(大阪桐蔭-ロッテ)辰己涼介(立命大-楽天)両外野手の外れ外れ1位だった。今季6月7日オリックス戦に達成したプロ861試合目での1000安打は、球団生え抜き最速。1年目の19年から今季まで、7年連続打撃タイトル獲得を継続中。171センチ、70キロ。左投げ左打ち。