<大相撲九州場所>◇3日目◇11日◇福岡国際センター第63代横綱からしこ名を受け継いだ、モンゴル出身で本名バトツェツェゲ…

<大相撲九州場所>◇3日目◇11日◇福岡国際センター

第63代横綱からしこ名を受け継いだ、モンゴル出身で本名バトツェツェゲ・オチルサイハンの旭富士(23=伊勢ケ浜)が、注目のデビュー戦を白星で飾った。同じくモンゴル出身で、197センチ、173キロと、自身よりも12センチ、23キロ大きい天昇山(21=玉ノ井)を寄り切り。立ち遅れた格好となったが、すぐに左前まわしを引いた。さらに右も引いて両前まわし。腰の重い相手を引きつけ、何もさせずに危なげなく土俵外へと運んだ。“史上最強の新弟子”の呼び声高い実力の片りんを見せた。

普段はほとんど観客がいない前相撲に、この日は200人ほどの熱心な相撲ファンが駆けつけ“伝説の始まり”を見守った。取組後、緊張したか問われた旭富士は「ないですね」と話し、大物感を漂わせた。横綱のしこ名「旭富士」を呼び上げられたことには「まだ慣れてない感じです」と、照れ笑いを浮かべた。「喜びはありますか」の質問には「はい」と回答。取組後の支度部屋では、随所に笑顔を見せていた。

審判として土俵下で見た二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)は「よく稽古をしている体つき。まだまだ良くなるんじゃないですか」と、今後の伸びしろに期待していた。同じく土俵下で審判を務めていた清見潟親方(元関脇栃煌山)も「強い。体重が150キロということですけど、思ったよりも体が締まっていた。緊張していたのかもしれないけど、重い相手を寄り切る力もある」と、現時点の実力を認めていた。

旭富士はすでに部屋の稽古で、前頭伯桜鵬ら関取衆との申し合いに参加している。その中でも実力は頭一つ抜けており、関係者の間では「すでに実力は大関、横綱クラス」との声が多く聞こえる逸材だ。そんな期待の大きさを物語るように、前日10日の2日目には、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)が、先代師匠で優勝4度の宮城野親方が現役時代に名乗った「旭富士」のしこ名を付けたことを明かしていた。日増しに注目度が高まっていた中で、同じく近い将来の関取候補と目される天昇山を破り、順調に滑りだした。