「阪神秋季キャンプ」(8日、安芸) 阪神の前川右京外野手(22)が8日、高知県安芸市で行われている秋季キャンプに合流し…
「阪神秋季キャンプ」(8日、安芸)
阪神の前川右京外野手(22)が8日、高知県安芸市で行われている秋季キャンプに合流し、フリー打撃では3本の場外弾を放つなど、計8本の柵越えと快音を連発した。今季苦しんだ打撃の見直しを図っている秋。藤川監督も復活に期待する若虎が、巻き返しへ向けて再スタートを切っている。
安芸市営球場の右翼後方に広がる、雄大な太平洋に向かって白球が伸びていく。前川の放った打球は右中間の得点板最上部をかすめると、そのまま場外へ消えた。「おー」とどよめくスタンド。さらに続く打球も場外へ飛び出し、球場は大きな拍手に包まれた。
「フォーム自体はあまり変えていないすけど、踏み込む位置を変えたら、バットの出方が良くなった」
打撃改造はバットの構える位置などではなく、踏み込む足に目を向けた。これまでは無意識のうちに、ホームベース側に前足が出ていた。それにより、バットの軌道が外回りになり、内角球をさばけなかった。
そこで前足をやや開き気味に踏み込むことを意識し、バットが最短距離で出る形を模索。10月のクライマックスシリーズごろから意識して取り組んでいた。ただ、練習ではうまくいっても体に染みついてはおらず、試合での結果にはつながっていなかった。
シーズンも終わり「今までの野球人生でやってきた自分のスイングに戻しつつ、こっち(内角)の対応がテーマ」と原点回帰。反復練習で矯正を図っている最中だ。「いい角度でいっている打球もある」と手応えを口にした。
今季は開幕スタメンをつかんだものの、不振にあえぎ、昇降格を繰り返した。昨季の116試合を大きく下回る69試合の出場にとどまった。打率も・246と振るわず。飛躍を期待されながら悔しいシーズンになった。
悩める男を藤川監督も気にかけている。10月には、前川を高校時代に指導した経験のある金本知憲元監督に連絡。「見ていただけませんか」と伝えた。返答は「前川は特徴のある選手だから難しい」。指導も策の一つだが、自らで現状を打開することも必要とした。指揮官はその言葉を受け止め「能力はものすごく高い。またやり直し。自分(前川)がやりますから」と復活を信じている。
合流初日。最後のランメニューでは、足をつり、苦悶(くもん)の表情も浮かべた。「練習量も多かったので、きつかったです」と充実の汗を拭った。
来季は同学年の大卒野手3選手が入団予定。ポジション争いもさらに激化する。「自分のやるべきことをやらないと勝負も始まらない」。前川は自らを見つめ、実りの秋にする。