「フィギュアスケート・NHK杯」(8日、東和薬品ラクタブドーム) 女子は第1戦2位の坂本花織(25)=シスメックス=が…
「フィギュアスケート・NHK杯」(8日、東和薬品ラクタブドーム)
女子は第1戦2位の坂本花織(25)=シスメックス=が今季世界最高の合計227・18点でGP9勝目を挙げ、ミラノ・コルティナ五輪の代表選考で重要な位置付けのGPファイナル(12月4~6日・名古屋)進出を決めた。SP、フリーともにトップでNHK杯は2年連続4度目の制覇。青木祐奈(MFアカデミー)は6位、樋口新葉(ノエビア)は9位。男子は鍵山優真(22)=オリエンタルバイオ・中京大=がフリー2位の合計287・24点で今季GP初戦を制した。大会3連覇でGP通算7勝目。佐藤駿(21)=エームサービス・明大=がフリーは1位となり、合計285・71点の2位でファイナルに進んだ。
地元・関西で大きく口を開けて笑った。今季限りでの引退を決めている坂本がノーミスのSP首位発進から、フリーでも完璧な演技を披露。今季世界最高得点で優勝し「ひとまずしっかり滑り切ることができて、ファイナルも決まってほっとしている」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を決めると、みじんの不安も感じさせなかった。全てのジャンプで着氷する、集大成の舞い。「知り合いがたくさんいて、今日はやらないと、と思っていた」。大歓声が降り注ぐリンクのど真ん中で、天真らんまんな坂本らしく、豪快に両手でガッツポーズをした。
ストレスにも打ち勝った。10月の第1戦GPフランス大会を終え、すぐに兵庫選手権に出場。その後、約1週間半で今大会を迎える過密スケジュールだった。「疲れもあったし、回復も遅くなって、そういうストレスが積み重なっている」という。「1個でもミスすると集中力が切れる」と課題も語っていたが、中野コーチから「花織は強いです」と送り出され、モヤモヤを振り払う演技で魅了した。
今季のテーマは『総括』だ。競技人生に終止符を打つという大きな選択をした。最後の五輪シーズンを戦うフリーは「今までやってきたことの詰め合わせ」という『愛の讃歌』。「自分の大好きなスケートを、このフリーで表現できたら」と思いを込めている。
自身最後のNHK杯を2連覇で締めくくり、GPファイナル進出。12月にはミラノ・コルティナ五輪最終代表選考会を兼ねる全日本選手権も待つ。「多分気付いたら、あっという間にクリスマス。毎日練習をできるようにして、日々向上できたら」。来年2月、大舞台の氷の上で21年間のフィギュア人生を表現する。
◇坂本 花織(さかもと・かおり)2000年4月9日、神戸市出身。4歳でフィギュアスケートを始めた。神戸野田高を経て、神戸学院大経営学部を卒業。16年全日本ジュニア選手権で初優勝し、17年世界ジュニア選手権は銅メダル。全日本選手権は18年に初優勝し、21年から4連覇中。五輪は18年平昌は6位、22年北京は銅メダル、団体は銀。GPファイナルは23年に優勝。世界選手権は22年から3連覇し、25年は2位。159センチ。