「フィギュアスケート・NHK杯」(7日、東和薬品ラクタブドーム) 女子SPは今季で競技引退を表明している22年北京五輪…

 「フィギュアスケート・NHK杯」(7日、東和薬品ラクタブドーム)

 女子SPは今季で競技引退を表明している22年北京五輪銅メダリストの坂本花織(25)=シスメックス=が今季自己最高となる77・05点でトップに立った。青木祐奈(MFアカデミー)は56・72点で9位、樋口新葉(ノエビア)は53・15点で10位と出遅れた。男子は鍵山優真(21)=オリエンタルバイオ・中京大=が98・58点で首位発進した。第2戦優勝の佐藤駿(エームサービス・明大)が96・67点で2位、垣内珀琉(ひょうご西宮FSC)は12位。佐藤は3位以内、坂本は優勝すれば、GPファイナル(12月4~6日・名古屋)進出が決まる。

 演技を終え、坂本に柔和な表情が戻った。「昨日の練習から今日の練習まで吐きそうなほど緊張していたが、試合では落ち着いて納得のいく演技ができた」と振り返った。

 SP曲「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」に合わせ、冒頭の3回転ルッツを成功させると、3回転フリップ-3回転トーループの連続ジャンプも難なく降りた。経験値のある豊かな表現力でリンクを広く使い、ノーミス演技。滑り終えると、万雷の拍手を浴びながら力強くガッツポーズした。

 10月のGPシリーズ第1戦フランス大会では224・23点をマークしながら、中井亜美に次ぐ2位。2度目の連覇がかかる今大会も、前日の公式練習では「ミスは許されない」「1個ミスをすると結構崩れる傾向にある」など、陽気な性格の坂本にしては珍しくナーバスな言葉を口にしていた。この日も昼まで食欲がなく「ご飯も喉を通らなかった」と明かした。

 しかし「緊張し疲れたのもある。いろんな人と話して気を紛らした」と自己コントロールして平常心を取り戻した。表現力、演技構成点は3項目すべて9点台をマーク。「今回は3項目とも9点台にできたのは成長。フランス大会はバタバタしてタイミングが合わなかったが、今日はいつも通りハマっていた」と手応えを得た。

 2位に10点近く差をつけて8日のフリーに臨むが、余裕はみせない。「10点差なんて、一つコケたら5点以上取りこぼす。一つのミスも許されないと思っている。最後まで気を抜かずやります」と表情を引き締めた。