「ナ・リーグ・優勝決定シリーズ、ドジャース5-1ブルワーズ」(17日、ロサンゼルス) ドジャースの大谷翔平投手(31)…

 「ナ・リーグ・優勝決定シリーズ、ドジャース5-1ブルワーズ」(17日、ロサンゼルス)

 ドジャースの大谷翔平投手(31)が究極の投打「二刀流」を体現した。ブルワーズとの第4戦に「1番・投手兼指名打者」で出場。打者としてメジャー史上12人目、日本勢初となるポストシーズン1試合3本塁打を放った。投手では七回途中無失点、10奪三振で勝利投手となり、今シリーズの最優秀選手(MVP)に選ばれた。チームは4連勝で2年連続のリーグ優勝を飾り、2連覇を目指すワールドシリーズ(WS)への進出を決めた。WSは7回戦制で24日(日本時間25日)からア・リーグ覇者と戦う。

 二刀流の神髄を見せつけた。超人的パフォーマンスで味方を奮い立たせ、敵の心をへし折った。唯一無二の存在。フィールドに5万2883人の「MVPコール」が響き渡った。大谷は登板試合で初めて3本塁打、投げては10奪三振で白星を挙げ「どちらも最高の気分。全体的には出来過ぎ」と余韻に浸った。

 “ショウ・タイム”はプレーボールのかけ声とともに幕を開けた。13日ぶりのマウンド。先頭を四球で出した後、後続を圧巻の3者連続三振に斬った。160キロ超の直球と多彩な変化球の配球で打者を手玉に取った。

 奪三振ショーの興奮を、今度はバットで増幅させた。初回の打席で飛距離136メートルのアーチを右翼席最上段にかけた。9試合40打席ぶりの3号先頭打者弾。球団史上初めてポストシーズン(PS)で本塁打を記録した投手としてその名を刻むと、四回には飛距離143メートルの驚愕(きょうがく)の一発。右翼席通路の屋根に着弾する“場外弾”でスタンドをどよめかせた。

 「今日はしっかりと先発投手の役割をこなしたいという気持ちで入りました」

 走者を背負いながらも要所を三振で締め、スコアボードにゼロを並べる。右肘手術から復帰後最長となる6回0/3、同最多100球の力投で10個の三振を奪った。ただ、今季初めて上がった七回のマウンドは四球と安打で無死一、二塁のピンチを招いて交代。「あそこを抑えれば完璧だった」と負けず嫌いな性分をのぞかせた。

 極め付きは七回だ。剛腕メギルの159キロをバックスクリーン左へ2打席連続5号。PS史上12人目の1試合3発で松井秀喜の持つ日本選手のPS最多本塁打記録を塗り替えた。ロバーツ監督が「彼が地球上で最高の選手と呼ばれる理由が今夜の試合に詰まっていた。多くの人に忘れられない記憶を残した」と絶賛する活躍だった。

 PS初戦で2本塁打を放った後、スランプに陥った。打率1割台と低迷していたが、15日のチーム練習で今季初めてフリー打撃を敢行。「試したいことが何個かあった」。14本の柵越えを含む32スイングで確かな手応えをつかんだ。

 移籍1年目の昨季に続くワールドシリーズ進出。最大の目標に掲げてきた連覇の扉を開こうとしている。シリーズMVPのトロフィーを手にした大谷はフィールド上の特設ステージで声を張った。

 「あと4つ、全力で勝ちにいきたい。皆さん、今日はおいしいお酒を飲んでください」

 歓声と拍手を独り占めにした夜、後世に語り継がれる新たな伝説が生まれた。

 ◆大リーグの1試合3本塁打 ポストシーズンでの最多記録タイ。大谷で史上12人目、13度目となった。ワールドシリーズでは1926、28年のベーブ・ルースをはじめ、77年のレジー・ジャクソン、2011年のアルバート・プホルスらが達成。レギュラーシーズンを含めると、大谷は史上初の「50本塁打、50盗塁」を成し遂げた昨年9月19日のマーリンズ戦で記録して以来、2度目。大リーグの1試合最多本塁打は4で、今年8月のカイル・シュワバーら過去21人が記録している。