<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第1戦フランス大会>◇17日(日本時間18日)◇アイスパーク◇女子ショー…

<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第1戦フランス大会>◇17日(日本時間18日)◇アイスパーク◇女子ショートプログラム(SP)

【アンジェ=松本航、松本愛香通信員】GPシリーズデビューとなった中井亜美(17=TOKIOインカラミ)が、今季SP世界最高得点で首位発進した。

自己ベストを一気に9点も上回る78・00点を記録。2位の坂本花織(シスメックス)に1・80点差をつけた。SP上位会見では中央に座り「ジュニアからシニアに上がって、すごく上手な選手と一緒に滑る機会を楽しみしていました。この舞台でトリプルアクセル(3回転半)を着氷して、ノーミスできたことはすごくうれしいですし、自己ベストを更新することができて、今はとてもうれしいです」と初々しく振り返った。

ジャンプを着氷させるたびに、会場の2階席まではっきりと分かる笑顔を届けた。冒頭はこだわりの大技トリプルアクセル。1・60点の加点を得る良質なジャンプで降りきった。軌道に入ったところから「跳べる感覚が頭の中でできていた」。成功させると「こうやって現実にできたことがうれしい」と喜んだ。続くルッツ-トーループの連続3回転ジャンプ成功時も笑顔。あとは10年バンクーバー五輪で銅メダルを獲得した高橋大輔さんも演じたプログラム「道」を、身長150センチの全身を使って表現するだけだった。

初めての70点台が、80点も近づく78点。キス・アンド・クライで得点が示されると「73点ぐらいかなと思っていたけれど、まさか78点をもらえるとは思っていなかった。やってきたことを、ちゃんと出せたからなのかなと思います」と思わずソファから腰が浮いた。

生まれは新潟県。21年の中学校進学を機に、千葉・船橋市のMFアカデミーに拠点を移した。ジュニアでも23年世界ジュニア選手権、24年ジュニアGPファイナルで銅メダルと実績を残し、今季シニアへ転向した。世界へと飛躍させてくれた中庭健介コーチからはこの日、演技前に「感謝を忘れずに」と声をかけられた。千葉での新生活を支えてくれた母とはホテルから出発前に電話し「笑って楽しめば絶対にできるから」と背中を押してくれた。伸び伸びと滑った3分弱の演技を「100点です!」と自己採点した。

GPシリーズ初出場優勝となれば、18年NHK杯の紀平梨花、22年スケートカナダの渡辺倫果以来、日本女子3人目の快挙となる。26年2月に控えるミラノ・コルティナ五輪の代表切符は3枚。名乗りを上げた17歳は「この流れでいきたいという気持ちが大きいです」と言い切り、18日のフリーへと波に乗っていく。

◆中井亜美(なかい・あみ)2008年(平20)4月27日、新潟市生まれ。5歳で競技を始め、18年の全日本ノービス選手権Bクラスで優勝。21年の中学校進学を機に拠点を千葉県船橋市のMFアカデミーに移し、中庭健介コーチに師事。同年ジュニアからの推薦で全日本選手権初出場。中2の22年に全日本選手権で4位となり、23年世界ジュニア選手権で銅メダルを獲得。通信制の勇志国際高に進学した昨季は、3年連続で出場したジュニアGPファイナルで3位。趣味はK-POPで、宝物はNiziUのライブでキャッチしたMAYUKAのサインボール。血液型O。150センチ。