<パ・CSファーストステージ:ソフトバンク-日本ハム>◇第3戦◇17日◇みずほペイペイドーム日本ハムが崖っぷちから4番の…

<パ・CSファーストステージ:ソフトバンク-日本ハム>◇第3戦◇17日◇みずほペイペイドーム

日本ハムが崖っぷちから4番の一打で踏みとどまった。ソフトバンクとのCSファイナルステージ第3戦(みずほペイペイドーム)の1回に第2戦まで8打数無安打だった郡司裕也捕手(27)が決勝の先制犠飛を放った。7回には満塁で走者一掃となる適時二塁打も放って海賊打線のキーマンが完全復活。負ければ敗退が決まる一戦でも信頼してスタメン起用してくれた新庄剛志監督(53)にCSファイナル初勝利を贈った。

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郡司は腹をくくって“4番の顔”を決めていた。「今日打てんかったらもう…切腹ぐらいの覚悟で。チャンスが追ってきますね、僕にね」。この日も1回1死一、三塁で、最初の打席が回った。「いきなり来たか」。プレッシャーもある中で、冷静に状況を整理。高く浮いてきたフォークを右翼へ運んで、先制の犠飛とした。4番の仕事を果たして「ちょっとホッとした」と気持ちも落ち着いた。

新庄監督からの信頼、期待に応えた。第2戦まで8打数無安打。CSファーストステージでは本塁打も放ったが、ソフトバンクの徹底マークを攻略できていなかった。「今日は正直(スタメンから)外されるかなって…」と覚悟していたが、前夜の試合後。指揮官からインスタグラムのDMで「『今年は郡司がいなかったら…』って、あらためて言ってもらった」と意気に感じ、覚悟を決めていた。

2位に終わったレギュラーシーズン。新庄監督は「郡司君がいなかったらゾッとする1年」と振り返っていた。今季も本職の捕手だけでなく一塁、三塁、左翼に中堅も守り、打順も経験しなかったのは9番だけ。もちろん代打としても重宝された。常にチームに足りない部分を補う、唯一無二の存在感は日に日に大きさを増し、最後は4番にも定着。だから負ければ終わりの試合でも「4番郡司」で勝負に出て、勝った。

郡司は7回には満塁の走者を一掃する適時二塁打でダメ押しした。試合中には新庄監督からも声をかけられたが、「ちょっと“ピー”が入りそうなんで言えないです(笑い)。ねぎらいというか“おわらい”というか」とウイットに富む“郡司節”も復活。「ホークスも余裕があるとはいえ、プレッシャーはあると思う。攻めの姿勢を続けられれば」。大逆転4連勝まで、あと3つだ。【木下大輔】