<国内女子ゴルフツアー:富士通レディース>◇第1日◇17日◇千葉・東急セブンハンドレッドC(6697ヤード、パー72)◇…
<国内女子ゴルフツアー:富士通レディース>◇第1日◇17日◇千葉・東急セブンハンドレッドC(6697ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝1800万円)
米ツアーを主戦場とし、今季国内ツアーは前週に続き3戦目の出場の渋野日向子(26=サントリー)が、米ツアーを含めると2年ぶり、国内ツアーに限れば4年ぶりに首位に立った。
7バーディー、1ボギーの66で6アンダー。5アンダーで2位の渡辺彩香と佐久間朱莉を1打上回った。
7カ月ぶりに国内ツアーに出場した、前週のスタンレー・レディースホンダは予選落ちだった。それまでの米ツアー4戦と合わせ、自己ワーストに並ぶ5戦連続の予選落ちを喫していたが、劇的に復調した。不調だったパッティングが復調し、それに引っ張られる形で随所にショットでもギャラリーを沸かせた。渋野が首位に立つのは、米ツアーの23年8月のスコットランド女子オープン第1、2ラウンド以来。国内ツアーに限れば、最後に優勝した21年10月の樋口久子・三菱電機レディース以来、実に4年ぶりとなった。
出だしの1番パー5で、8メートルのパットを決めて幸先よくバーディー発進した。さらに2番パー4も、7メートルのパットを決めて連続バーディー。3番パー4は、バーディーこそ奪えなかったが、バンカーからの第3打を、鋭いスピンをきかせ、70センチにピタリと寄せ、集まった大勢のギャラリーを沸かせて難なくパーとした。
この日、最もギャラリーを沸かせたのは6番パー4だった。第2打をグリーン手前左のラフに打ち込んだが、ピンまで25ヤードの第3打を、ウエッジでフワリと浮かせ、緩やかに転がって直接決めるチップインバーディーを奪った。自身も驚くスーパーショットに、大歓声が起き、照れ笑いを浮かべた。
勢いは止まらず、直後の7番パー5では、2度目の連続バーディーとした。グリーン手前花道から、ウエッジでピン左80センチにつけて伸ばした。
前週の予選落ち後、静岡・裾野市の会場から福岡県に飛び、ゴルフスタジオで約3時間、パッティングの指導を受けた。機械を使ってデータを計測。さまざまなデータを取り「発見ばかりで、言葉にできません。手を使う動作が多すぎた。当たり前だけど、体を使って、大きい筋肉で打つことが大事。今までパターを替えたり、いろいろやったけど、気を付けるポイントが明確になった感じ。パッティングはずっと、型にとらわれないというか自分の感性でやってきた。科学的なものが必要」と、課題としていたパッティングが劇的に改善し、この日出だしからの好スタートにつながった。
パッティングの真骨頂は、辛うじてパーセーブしたともにパー3の8番と17番だった。8番はティーショットをグリーン手前左のラフに打ち込み、第2打を寄せきれず、3メートル残ったパーパットを決めきった。17番も4メートル残ったパーパットがカップに吸い込まれた。前週は、次々と外していた、外せない3、4メートルのパーパットを、しっかりと決めきり、グリーン上の手応えに確信を覚えたように、うなずいた。
後半3つのバーディーも、グリーン上がさえて奪った。10番は3メートル、14番は6メートル、16番は4メートルを決めきった。最終18番パー4こそ、パーパットがカップに蹴られ「入ったと思ったんですよ。カッコわりーな(笑い)。でも、なんかそういうところが自分らしいかなと思って。若干、悔しさが残るし、恥ずかしさが残る感じ。まあ、そういうところですよね」と、笑い飛ばし、笑顔としぶこ節も帰ってきた。
「今までは5メートルのバーディーパットがチャンスと思えなかったけど、今日の感じで、こういうゴルフができていたら思えるんだろうなっていう、見本みたいなゴルフができた」と、納得のいく内容だった。前週の予選落ち後、3日前の14日に福岡県のスタジオで指導を受けた効果はてきめんだった。「予想以上。自分でもちょっとビックリしている。もっと早く行けばよかったと思うし、もっと早く知っておくべきだったと思うし。でもこれが、今日だけかもしんないし。でも、すごく手応えを感じたから、明日以降も、こういうゴルフができるように頑張りたい。でも、本当に全てが100点かというと、ショットに関しては本当に、50%ぐらいの感じだったので、まだまだ伸びしろたくさんだなって、前向きに思えるゴルフが久々にできてよかった」と、ホッとした表情を見せた。
久々の首位についても「自分でもビックリしてる」と、パッティングの状態向上と同じ言葉で感想を語った。「久しぶりじゃないですか。どうしたらいいか分かんない!」と話し、笑いを誘った。そして静かな口調になって言った。「明日はどうなるか分からない。でもやっぱり、チャンスはつかみたいので頑張りたい」。4年ぶり日米通算8勝目への意欲をにじませていた。【高田文太】