<国内女子ゴルフツアー:スタンレー・レディースホンダ>◇最終日◇12日◇静岡・東名CC(3285ヤード=変則9ホール、パ…

<国内女子ゴルフツアー:スタンレー・レディースホンダ>◇最終日◇12日◇静岡・東名CC(3285ヤード=変則9ホール、パー36)◇賞金総額1億2000万円(優勝2160万円)◇曇り、21・2度、北西の風0・9メートル◇観衆3806人

史上初めて変則9ホールで争われた、不測の事態でこそ強さを発揮した。98年度生まれ「黄金世代」の河本結(27=RICOH)が、今季2勝目、通算4勝目を、自身初の完全優勝で飾った。霧による視界不良のため、4時間遅れてスタート。ツアー制施行の88年以降、初の変則9ホールの戦いを、4バーディー、ボギーなしの32と4つ伸ばし、通算14アンダー、166で、2位との差を1打から3打に広げて逃げ切った。年間女王争いでも4位から3位に浮上し、黄金世代初のタイトル奪取に意欲的だ。

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出だしの1番は右手を掲げ、最終18番は両手を広げて喜んだ。前例のない変則9ホールは、河本のために用意された舞台のようだった。昨年は2位に敗れた大会で雪辱。発熱で練習ラウンドを1度も行えず、ぶっつけ本番で臨みながら、第1ラウンドからトップを守りきった。4バーディーを重ね、ベストスコア「32」で駆け抜けた。ウイニングパットとなった、18番のパーパットに際して「あっ、これで優勝か」と気付くまで無欲で夢中。「ちょっと緊張しなくなっている自分が怖い」と話し、笑った。

当初よりもスタートが4時間遅れた。セカンドカットが実施され、人数も54人から30人に。その後に変則9ホールへ。刻々と状況が変化しても毎月5冊、年間60冊をノルマに課す読書と体力回復のため睡眠に充てて平常心。前日11日も「初日の1番の1打目も最終日の優勝が懸かったパッドも変わらない。1打の重みは同じ。だから過度に緊張することもない」と語っていた。ともにパー4の1番、2ホール目の9番で第2打を2メートルにつけて連続バーディーとロケットスタート。週1のメンタルトレで、タフさに磨きを掛けていた。

ただ内心では思うところもあった。今大会は2位の千怜とその姉明愛の岩井姉妹ら、米ツアーを主戦場とする選手が多数出場。表彰式のスピーチでは「自分も米国で戦っていた身でもあるので、米国に行っている選手が帰ってきて戦えることの喜びと、何だかちょっと複雑な悔しさを持ちながら戦った」と打ち明けた。

言葉の真相を会見で告白した。「帰ってきた身としてはJLPGAの意地を見せたかった。私はこっちを選んで帰ってきて、生半可な気持ちでやっていないことを示すためにも、この勝ちはすごく大きい」。年間3位に浮上し、現在の目標は年間女王。「黄金世代は誰も取っていない。逆に海外組に刺激を与えたい。27歳。ここからっしょ、女の旬は」。初の年間2勝。今が全盛期だ。【高田文太】