【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)11日(日本時間12日)=久保賢吾、斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(31)が、ロバ…

【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)11日(日本時間12日)=久保賢吾、斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(31)が、ロバーツ監督から修正のポイントを指摘され、ブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズでの復調を期待された。フィリーズとの地区シリーズでは18打数1安打。徹底的な左投手攻めに苦しんだが、ワールドシリーズ連覇に向け、大谷の復調は必要不可欠となる。また、ブルワーズの野球を「Nobu‘s Eye」でひもとく。

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ブルワーズは“キツツキ野球”を強みとする。名のあるスター選手といえば、18年にMVPに輝いたクリスチャン・イエリチ外野手(33)のみ。それでも7月に11連勝、8月に14連勝をマークし、今季97勝65敗のメジャー最高勝率で他球団を圧倒した。昨季、就任1年目でリーグ最優秀監督に輝いたパット・マーフィー監督(66)はドジャースと対戦した今年7月、チームとして掲げる野球について、独特な言葉で表現した。

「ウッドペッカー(キツツキ)のように、集中してプレーし続けること。結果が悪くても切り替えて、次の投球に備える。その絶え間ないプレッシャーが大事なんだ。足が速ければ走る、守備なら、全てのプレーに備える。投手なら狙った所に投げる。その継続だと私は思う」

チーム本塁打数はリーグ9位の166本。同1位で244本のドジャースと比べれば破壊力で劣る。一方、盗塁数は164でリーグ1位。上位打線のチョウリオ、チュラングを中心に機動力を生かせる選手が並ぶ。チーム打率2割5分8厘はフィリーズに次ぐ2位。戦い方として象徴的だったのはド軍と対戦した7月20日、11安打のうち10安打がシングルヒット。力強いスイングで引っ張る打球もあれば、状況に応じてセンター返しや右打ちを徹底する。キツツキのように突く、しぶとい攻撃が目立った。

堅実な守備と30球団トップのチーム防御率3・58の投手力も強さの要因にある。それぞれがどのように集中力を高めているのか。マーフィー監督は「このレベルにいる選手は、すでにその力を持っている必要がある。教える段階ではない。左右を見れば、全員がやっている。それがチームの標準なんだ。そうでなければ居場所はない。理解できる選手は残り、できない選手は去ってもらう」と、厳しい目で見ている。

大学野球で長年監督を務めた経験のある同監督は誇らしげに言っていた。「うちには経験豊富なスター選手たちはいない。(スター選手にあふれて)満腹の状態ではハングリーでいるのは難しい。リーダーのイエリチが模範となり、そういう正しい、リーダー格の選手がいれば、若い選手はハングリーになる」。勝ちに飢えた集団が、世界一連覇を目指すド軍の前に立ちはだかる。