◇米国男子◇ベイカレントクラシック Presented by レクサス 最終日(12日)◇横浜CC(神奈川)◇7315…

日本の地でツアー10勝目を飾った

◇米国男子◇ベイカレントクラシック Presented by レクサス 最終日(12日)◇横浜CC(神奈川)◇7315yd(パー71)

ザンダー・シャウフェレが日本を初めて訪れたのは9歳の頃までさかのぼる。東京で暮らす祖父母を訪ね、日本の文化に触れた。「今よりずっと昔、この国に恋をしたんです」。祖父母に加え、両親も日本で暮らした経験がある。そして、日本との縁を今年生まれたばかりの長男・ビクターくんにもつなぎたいと考えているそうだ。「息子が日本の文化を理解できる年齢になったら、ぜひ連れて来たい。シャウフェレ家と日本の絆は深いからね」と笑う。

1年3カ月ぶりの勝利

特別な地で首位タイから臨んだ優勝争い。同じ最終組で初優勝を狙うマックス・グレイサーマンマイケル・トルビョンセンに比べれば、メジャー2勝を誇るキャリアははるかに格上と言えた。それでも、「僕が最後に優勝を争ったのは1年以上前のこと。彼らと同じか、それ以上の緊張感があった。優勝経験があるからこそ、その感覚を記憶の奥底から掘り起こさなければならなかったんだ」とアドバンテージを感じる余裕はなかった。

優勝経験のない2人と最終組でプレー

右肋骨を痛めて長期離脱を挟んだ今季はここまで未勝利のフェデックスカップポイントランキング42位。8シーズン続けていたトップ30による最終戦出場を逃していた。「(シーズン中から)自信はあったけど、それを疑うことも確かにあった。選手なら、誰しも経験すること」。葛藤を乗り越えてきた分だけ、31歳はたくましかった。

1打差で勝ち切った

3バーディ先行から、7番で唯一のボギーを喫しても8番でバウンスバック。タフなホールが続くサンデーバックナインで4バーディと加速した。難度3番目の10番で上からスピンと傾斜で戻してピンに絡めるショットでバーディとすると、13番から2連続。難度5番目の14番は7m近い距離を流し込んだ。4mを左ふちからねじ込んだ17番のバーディで2打差をつけて優勝を手中に収めたが、最終18番の2打目にもう少しでイーグルというスーパーショットを見せたグレイサーマンらライバルをたたえる。「彼らが素晴らしい選手だからこそ、この勝利に格別な満足感がある」と言った。

母ピンイーさん、父ステファンさんと

PGAツアー出場200試合目で通算10勝の節目に到達。金メダルに輝いて頂点に立った2021年「東京五輪」はコロナ禍で無観客開催だった。外部の人との接触を遮断するバブル方式とあって、落ち着いて喜びを分かち合うこともままならなかった。「家族で集まって、少しお酒を飲む程度かな。早く会いたいよ」。愛する日本でまたひとつ、忘れられない思い出を刻んだ。(横浜市保土ヶ谷区/亀山泰宏)