<秋季高校野球東北大会:東北8-0日大東北>◇9日◇1、2回戦◇盛岡・きたぎんボールパークほか金足農(秋田2位)が5-0…

<秋季高校野球東北大会:東北8-0日大東北>◇9日◇1、2回戦◇盛岡・きたぎんボールパークほか

金足農(秋田2位)が5-0で東海大山形(山形2位)を破り、準々決勝進出を決めた。武藤一斗内野手(2年)が9回に登板し、気迫の無失点投球。打っては初回の2点適時打含む3安打2盗塁と躍動した。東北(宮城2位)は日大東北(福島2位)に8-0と大勝。1番・松本叶大(かなた)外野手(2年)が初回の三塁打含む2安打で、チームを勢いづけた。

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開始直後の初球だった。松本がいきなり中越え三塁打。選手全員が初めての舞台。「先頭として絶対に出よう」。1番打者の役割を全うした。我妻敏監督(43)も「あの三塁打が勢いづけてくれました」とうなずいた。チームも初回に2点、3回に4点と序盤で大量リードを奪った。

目指すは6季ぶりの甲子園。新チームが始動し、松本は覚悟を決めるために頭を丸めた。さらに、今大会の前にも「気合を入れるため」とバリカンを入れた。その闘志はプレーでも体現。大量リードは関係なし。果敢に次の塁を狙うなど、一瞬たりとも隙は見せなかった。

導かれるように顔合わせが決まった。日大東北の大竹主将とは南東北ヤングでともにプレー。当時は松本が主将、大竹が副主将を務めていた。今でも週1で電話する仲。「縁があって引いたのかな」。直感で思った。試合前日も言葉を交わした。「楽しみすぎて寝られないわ」。初舞台での対戦が待ち切れなかった。

試合は東北に軍配。それでも、かつての戦友の姿に刺激を受けた。中学時代はプレー中の声が足りない大竹にカツを入れることも多々。だが、以前の姿はなかった。「(大竹は)劣勢でも声を出し続けていて、本当にすごいなと思いました」。同じ主将として負けてはいられない。「いつも敵は自分なので、やってきたことを出して戦っていきたいです」。いつでも東北らしさを忘れない。【木村有優】