<秋季高校野球東北大会:金足農5-0東海大山形>◇9日◇1、2回戦◇盛岡・きたぎんボールパークほか金足農(秋田2位)が5…

<秋季高校野球東北大会:金足農5-0東海大山形>◇9日◇1、2回戦◇盛岡・きたぎんボールパークほか

金足農(秋田2位)が5-0で東海大山形(山形2位)を破り、準々決勝進出を決めた。武藤一斗内野手(2年)が9回に登板し、気迫の無失点投球。打っては初回の2点適時打含む3安打2盗塁と躍動した。東北(宮城2位)は日大東北(福島2位)に8-0と大勝。1番・松本叶大(かなた)外野手(2年)が初回の三塁打含む2安打で、チームを勢いづけた。

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5点リードの9回のマウンドに、武藤は大きく腕を振りながら上がった。先頭打者を味方の失策で出塁させてしまうが、力強い直球と変化球を織り交ぜ、後続を中飛、遊ゴロ、左飛に抑え、ほえながら拳を握りしめた。「1球1球全力で抑えにいくという気持ちで、気持ちで負けないように投げました」。気迫の投球で自己最速141キロもマークした。

遊撃を主とするが、新チームになり試合終盤にリリーフも務めている。もともと中学時代はエース。再びマウンドに上がることとなり、投手練習の時間も増えた。「前チームより忙しくなりましたが、チームのためなら大変じゃないです」。新球種を試み、精度を上げている最中だ。

攻撃でも引っ張った。初回1死満塁のチャンスで「ここで1点取れれば自分たちに、取れなければ相手に流れが行く。なんとか自分が返す」と相手左腕のスライダーを捉え、2点をもぎ取った。2盗塁と足でも揺さぶり、守備でもファインプレーを演じるなど、大車輪の活躍だった。

今夏の甲子園ベンチ入りメンバーが8人と経験値が備わる新チーム。さらに武藤は2度、聖地でのプレーを経験しているだけに、けん引していきたい思いは強い。「全国は全員のレベルが高い。東北ももちろん高いけれど、ここで負けてたら全国には通用しない」と日頃からチームメートを鼓舞。今夏甲子園初戦で沖縄尚学・末吉良丞投手(2年)に無得点に抑えられた悔しさと刺激を糧に、「どうしたら好投手を打ち崩せるか」と、ベンチ外だったメンバーにも経験を伝えている。

次戦はセンバツ出場に1歩近づく準々決勝。増した責任もまた、自身の成長につなげながら走攻守で躍動していく。【高橋香奈】