女子ゴルフで、今季は米下部ツアーを主戦場としていた原英莉花(26=NIPPON EXPRESSホールディングス)が、国内…

女子ゴルフで、今季は米下部ツアーを主戦場としていた原英莉花(26=NIPPON EXPRESSホールディングス)が、国内ツアー今季初出場となる、スタンレー・レディースホンダ開幕を翌日に控えた9日、会場の静岡・東名CCで練習した。この日は午後に会場入りし、ショット、パッティングの練習で最終調整。この日のプロアマ戦には参加しておらず、コースを1度も回らないまま、ぶっつけ本番となるが、目標を問われると「やっぱり優勝」と、迷いなく答えた。

原は昨年の米ツアー最終予選会を突破できなかったが、下部ツアーの出場権を得た。国内ツアーの今季単年シード権を放棄し、試合間の移動も環境も過酷な、米下部ツアー参戦を決断。8月にはワイルドホース・レディース・クラシックで優勝するなど年間5位となり、来季の米レギュラーツアー昇格を決めていた。

米国から帰国したのが前日8日午後で、すぐに向かったのは師匠の「ジャンボ」こと尾崎将司のもとだった。夕飯時に到着、報告すると「おーん」「(レギュラーツアーに)出られるのか」という返答だったという。ただ原は「ジャンボさんがうれしかったかは分からないけど、私はうれしかった」と、師匠に良い報告をできたうれしさがにじみ出ていたのかもしれない。珍しく「ハグしてもらいました」と、米国流の祝福を受けたと喜んで明かした。

「車に乗っていて、3時間ずっと山の裏、5時間ずっと牧場ということもあった」と、日本では味わえない米国の広大さ、移動の過酷さに気が滅入りそうになったこともあった。ただ、運転手役も務めたマネジャー兼キャディー、トレーナーの協力もあり、現地でもトレーニングを欠かさず、ドライバーの飛距離は「去年よりも30ヤード伸びた。去年がキャリーで235ヤードぐらいまで落ちていたので」と、本来の“飛ばし屋”に戻った。

取材対応する際の冒頭、十数人の記者に囲まれると「すげー」と、かつては当たり前の光景も、新鮮に感じた。「ローピングしていた試合は1試合」と、国内ツアーでは観客との導線を分けるためにロープを張られるが、米下部ツアーでは、そもそも観客がいない。ただ、日本では屈指の人気女子プロだけに、今大会も大勢のギャラリーを引き連れると想定される。原は「普通に見てもらえたら、うれしい。期待されると、ソワソワしちゃう」と笑った。たくましくなった原が、今年初めて、日本のファンの前でギャラリーを沸かせる。【高田文太】