Jリーグは7日、都内で裁定事案についての会見を開き、「横浜ダービー」と「大阪ダービー」で発生したサポーターの違反行為にと…

Jリーグは7日、都内で裁定事案についての会見を開き、「横浜ダービー」と「大阪ダービー」で発生したサポーターの違反行為にと、今後の対応方針について説明した。

対象事案は、<1>7月5日のJ1第23節横浜FC対横浜F・マリノスにて発生した、横浜F・マリノスサポーターによる試合運営管理規定の違反行為と、<2>同日のセレッソ大阪対ガンバ大阪にて発生した、ガンバ大阪サポーターによる試合運営管理規定の違反行為。

Jリーグは「危険行為が繰り返されることは、今後のリーグ運営に重大な影響を及ぼし、ひいてはJリーグの根幹をなす安全理念を脅かしかねない危機感を抱いております。安心、安全なスタジアムを追及するJリーグにおいて、こうした危険行為は到底容認できるものではなく、実行者に対する強い憤りを禁じえません」と厳しい言葉で断罪した。

さらに「双方クラブが最大限の対応を講じながらも、悪質性の高い行為によって運営上の重大な被害や不利益が生じるケースにおいて、Jリーグ規約の適用範囲のみでは安全な試合環境への秩序を維持することが困難と認められる場合、今後は従前の対応に加え、危険行為を行った個人や団体に対する法的措置も辞さない方針を決めております」とより踏み込んだ対応方針を明らかにした。

今回の事案発生と対応方針の見直しは、9月の実行委員会で全クラブに共有され、同月の理事会で報告された。近日開催の運営担当者会議にて、セキュリティー対応マニュアルの見直しをとり行う予定だという。

<1>は、試合前に場外において、横浜サポーターが行進隊列を組み、侵入が禁止されている規制線をめがけて行進。隊列は規制線を超えたうえ、キッチンカーが並ぶ観戦者が多く存在するエリアに向かい、隊列内の中ほどから横浜サポーターが発煙筒とロケット花火を複数回発射または投げ入れた。発煙筒のうち1本がキッチンカー付近の看板を直撃し、ロケット花火がスタッフの顔や肩に当たり衣服を損傷するなどしたという。

違反行為はタオルマフラーや目出し帽により顔が隠れた状態で行われ、実行行為者の特定が困難であったため、スタジアム内に危険物が持ち込まれる可能性に鑑み、すべてのビジター側の来場者に対し緊急的に手荷物検査が実施。事案発生後、来場者の安全確保のための状況確認や安全確認、警備体制の強化、緊急的かつ厳重な手荷物検査などの対応を講じたことから、開門時間が大幅に遅延し、ビジター側の来場者の入場がキックオフ後となった。違反行為はあらかじめ発煙筒やロケット花火を準備して行われた計画的なものであり、さらに事情を知らないサポーターを隊列に巻き込んで大きな集団を形成し、その中から自らの顔を隠すなどして巧妙に行為者の特定を防ぎながら敢行されたという。

Jリーグとしては、横浜を厳重注意とし、さらなるサポーター管理の厳格かつ慎重な体制構築と、違反行為者に対する法的手段による責任追及を強く求めるものとした。

日頃から主要サポーター団体のリーダーとの対話機会を設けていたクラブは、事案発生後、来場者の安全確保のための状況確認や安全確認、警備体制の強化、緊急的かつ厳重な手荷物検査などの対応、チケット払い戻し方針の協議を初め通常の試合運営に移行するために求められる対応にビジタークラブとして協力。事案発生後、行進隊列に関わった4団体の活動禁止とサポーター73名の無期限入場禁止措置を講じた。緊急的な手荷物検査によってキックオフまでに入場が間に合わなかったビジター側の来場者に対し、チケット代金の返金を実施。さらに再発防止策として、一定期間の横断幕、旗、応援グッズの使用を禁止し、現在は横断幕の事前申請制を採用している。

<2>の事案については、G大阪サポーターによって、ホームクラブの観戦ルール&マナーの禁止行為「集団での移動」に該当する隊列による行進、隊列による進行禁止エリアへの侵入や柵破壊行為を含む、複数の試合運営妨害行為と、サポーター複数名が相手クラブサポーター1名へ詰め寄り、そのうち1名が相手クラブサポーターを押し横転させるなどの威嚇・暴力行為をした。

Jリーグは、G大阪を厳重注意とし、サポーターコミュニケーションの強化、運営体制の見直し、集団での移動の制限を強く求めるものとした。

クラブは、事前にサポーター7団体を束ねるリーダーと連絡をとり、決起集会等の特別な対応は行わない旨確認。サポーター団体が乗り合うとの情報を得ていた公共交通機関にスタッフが同乗しホームクラブへ情報提供のうえ、スタジアムまでの移動に帯同し状況を注視していた。

しかし、場外で事案が発生し、隊列の2か所でもみ合いや遮蔽柵を蹴るなどの違反行為が生じたが、連携不足により一方への対応が出遅れ十分な人数がかけられず、収束に時間を要した。事案発生後は、実行者の特定を行い、無期限入場禁止処分を含むサポーターの処分を実施した。