<フィギュアスケート:近畿選手権>◇5日◇木下アカデミー京都アイスアリーナ◇女子フリーショートプログラム(SP)首位の三…

<フィギュアスケート:近畿選手権>◇5日◇木下アカデミー京都アイスアリーナ◇女子フリー

ショートプログラム(SP)首位の三宅咲綺(22)が初優勝を飾った。

フリーも1位の129・86点を記録し、合計198・42点。2位の三原舞依(ともにシスメックス)と10・86点差だった。

トリプルアクセル(3回転半)の着氷乱れなど反省も多くありながら、成長を実感。9月の木下グループ杯で国際大会デビューを飾った自称“遅咲き”が目指すのは、26年ミラノ・コルティナ五輪。わずかな可能性を信じ、シーズンのヤマ場へ向かう。

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表彰台の頂から降り、反省の弁が最初に出た。三宅が挑んだ冒頭の3回転半。直前の6分間練習でも降りた大技は、着氷が乱れた。出来栄え点(GOE)は1・87点の減点。後半の3回転ルッツ、3回転ループも2回転となり「悔いが残る内容。『(3回転半は)なんで本番に生かせないんだろう…』という葛藤もありますが、ひたむきに頑張るしかない」と前を向いた。

22歳、初めての近畿選手権だった。今春に岡山理科大を卒業。神戸市に本社があるシスメックス所属となった。人生の転機は22年。五輪2大会連続出場の坂本花織がきっかけで、神戸へ拠点を移した。坂本や4大陸選手権2度優勝の三原舞依らと練習をともにし、昨夏には中野園子コーチから「オリンピックに3人で行くよ」と背中を押された。

武器は高さのあるジャンプだ。短い接地時間で高く跳び上がる「リバウンドジャンプ」の数値は陸上選手並み。この日のフリーは8月の初戦と比べ「後半に体力が余っている状態までこられた」と収穫を得た。3回転半を含めて良質なジャンプがそろえば、より得点が伸びていく実感がある。

国内トップ選手が臨むグランプリ(GP)シリーズには出場権がない。3枚の五輪切符をつかむためには全日本選手権(12月、東京)で代表内定となる優勝や、準じた好成績が必要な立場。次の照準は全日本選手権の予選会で、2連覇が懸かる西日本選手権(31日~11月3日、滋賀)となる。

「目標に努力して進むと自分を成長させてくれる。今年も西日本で1位を取り、全日本を気持ち良く迎えられる演技をしたいです」

努力で可能性を広げるシーズンは続く。【松本航】

◆三宅咲綺(みやけ・さき)2002年(平14)11月23日、岡山・倉敷市生まれ。岡山理大付高2年時の19年全日本選手権で12位。21年に岡山理科大に進学し、坂本花織の勧めで22年春に神戸クラブへ加入。24年全日本選手権で自己最高の9位。シーズン後、高橋大輔さんのアイスショー「滑走屋」に2年連続で出演した。国際大会デビューは25年木下グループ杯で3位。趣味は船釣り。155センチ。