<国内女子ゴルフツアー:日本女子オープン選手権>◇最終日◇5日◇兵庫・チェリーヒルズGC(6616ヤード、パー72)◇賞…

<国内女子ゴルフツアー:日本女子オープン選手権>◇最終日◇5日◇兵庫・チェリーヒルズGC(6616ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)◇雨、気温22・5度、北北東の風1・5メートル

プロ12年目の堀琴音(29=ダイセル)が、国内4大(メジャー)大会で悲願の初制覇を飾った。5バーディー、1ボギーの68で回り、通算19アンダーの269で、2日目から首位を守り抜いた。3年ぶりツアー通算3勝目、昨年のクリスマスに結婚して初めての勝利になった。2打差2位に佐久間朱莉(22)、15歳のアマチュア広吉優梨菜(福岡第一高1年)は3位に終わった。

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待望のメジャー初勝利は堀琴音にとって、ミセスで初優勝でもあった。歓喜が訪れたグリーンを離れると、昨年12月に結婚した高坂佳祐さん(30)が出迎えてくれた。

「主人からは『優勝した時に、自分が会場にいて優勝杯を持って2ショットを撮影したい』と言われていた。私にも新しく家族ができ、主人も(結婚して)成績が下がったと言われたくないと思っていたはず。今日は勝ちたかった」

スタートの時点で1打差2位の広吉、5打差8位の佐久間とは前半途中で一時首位に並ばれ、後半は5組前の佐久間との一騎打ちの展開。しかし「一喜一憂しない。絶対に試練は訪れる」と言い聞かせ、後半10番のバーディーで単独首位に立つと、最後は2打差で逃げ切った。

「私は9年前に負けた時から、ずっとこの大会で勝ちたかった。9年前の忘れ物を取りにこられて、本当に良かった」

20歳で臨んだ16年日本女子オープンは、最終日に一時首位に立つが、後半の3ボギーなどで失速。アマチュアで17歳の畑岡奈紗に逆転され、1打差2位で目の前にあったメジャー王座を奪われ、泣いた。勝てばツアー初Vだった。

「あの試合で良くも悪くも、堀琴音の名前をたくさん知ってもらえた。でも、いまだに『あの時、優勝できなかったよね』と言われる。苦しかった」

その後はショットが右45度に曲がり、パターも入らなかった。だが、どん底から這い上がり、2勝を重ねて同じ舞台で雪辱。この日、競り合った相手が15歳の広吉で、9年前の畑岡とも姿が重なっていたはずだ。

「(プロゴルファーは)普通の職業ではない。日曜日しか家にいない。納得して結婚するのが難しいと思ったが、理解してくれた。ありがたいし、心強い」

感謝はゴルフに無縁だった夫に向けられた。サラリーマンの夫から「自信を持ってやっていた。おめでとう」と祝福され、29歳のベテランに会心の笑顔が浮かんだ。【横田和幸】

◆堀琴音(ほり・ことね)1996年(平8)3月3日、徳島市生まれ。兵庫・滝川二高時の12、13年にナショナルチーム入り。14年下部ツアー京都レディースで当時2人目のアマチュア優勝を飾り、同年7月のプロテストに柏原明日架らと合格。21年ニッポンハム・レディースでツアー初優勝、22年Tポイント×ENEOSで2勝目。今季フェアウエーキープ率は約81%でツアートップ。165センチ、56キロ。