日本女子プロサッカーリーグ、WEリーグは5シーズン目を迎えた。現在、9月23日に前倒しで第13節を戦った日テレ・東京ヴ…
日本女子プロサッカーリーグ、WEリーグは5シーズン目を迎えた。現在、9月23日に前倒しで第13節を戦った日テレ・東京ヴェルディベレーザが首位に立っているが、INAC神戸レオネッサが2ポイント差、三菱重工浦和レッズレディースがさらに勝点2差で追っている。これまで通り、この「3強」が優勝争いを繰り広げると考えられるが、新監督の就任や選手の移籍など、この3チームにも、いくつもの大きな変化があった。そのあたりを含めて、サッカージャーナリスト後藤健生が「3強の現状」、今シーズンの「注目ポイント」、注目選手を徹底解説!
■直接対決で「2敗」したのは?
WEリーグは第7節を終了し、今シーズンもINAC神戸レオネッサ、日テレ・東京ヴェルディベレーザ、三菱重工浦和レッズレディースの“3強”が上位を占めている。
第7節はひとつの区切りと考えることができる。というのは、9月21日のI神戸対浦和の試合で“3強”同士の直接対決の第1ラウンドが終わったからだ。
結果は、開幕節ではI神戸がベレーザを2対0で下し、第3節では浦和がベレーザに1対0で勝利。そして、第7節ではI神戸と浦和が1対1で譲らなかった。“3強”同士の戦いではベレーザが2敗という形になったが、他クラブとの対戦も含めた総合成績では、第7節終了時点でI神戸が勝点16で首位、以下ベレーザが同15で2位、浦和が同14で3位という順位になっていた(ベレーザは、AFC女子チャンピオンズリーグに出場するため、9月23日に第13節を前倒しでおこなって勝利し、現時点では首位に立っている)。
浦和はサンフレッチェ広島レジーナと開幕節で引き分け、第5節でマイナビ仙台に敗れたのが響いた。
■いずれも「新監督の下」での開幕
ご承知のように、2021-22シーズンにスタートしたWEリーグは、過去4シーズンいずれも上記の“3強”が1位から3位までを占めてきた(優勝は浦和が2回、I神戸、ベレーザが各1回)。それだけに、現在の“3強”の上位独占は当然と言えば当然の結果である。
ただ、今シーズンは、“3強”のいずれも新しい監督の下での開幕だったので、多少は不安を抱えていた。
昨シーズン終盤のことだ。優勝争いをしていた浦和が、それまで指揮を執っていた楠瀬直木監督を解任し、堀孝史を後任監督とした。
AFC女子チャンピオンズリーグ準々決勝で中国の武漢江大に敗れたのがきっかけだった。
武漢江大戦では延長までの120分間、浦和がボールを握って攻撃を続けたが、武漢江大にうまく守られてスコアレスドローに終わり、PK戦で優勝候補の浦和は姿を消した(武漢江大は同大会で優勝)。
いずれにせよ、リーグ戦の終盤に入って監督が交代したことは、チームにとって大きな打撃となったようで、浦和はその後、失速して3位に終わってしまった。
そして、浦和を退任した楠瀬監督は、シーズン終了後、ライバルであり、昨季の優勝チーム東京ヴェルディベレーザの監督に就任。さらに、浦和で攻撃的MFとして中心選手だった猶本光と塩越柚歩の2人も、楠瀬監督を追うようにベレーザに移籍していった。
■より「難しい立場」にある新監督
楠瀬監督は2021年に浦和の監督に就任して、それまで日本の女子サッカー界をリードしてきたベレーザやI神戸と互角に戦えるまでに強化した。
だが、もともと選手として読売サッカークラブでプレーし、ヴェルディユース(U-18)の監督も務めたこともある指導者だから、今季は女子監督としてヴェルディに「復帰」した形になる。新シーズンは、昨年のWEリーグで松田岳夫監督(現セレッソ大阪ヤンマーレディース監督)の下で優勝したチームを受け継ぎ、そこに塩越などの新戦力を融合させることでチームづくりを進めることができる。
より難しい立場にあるのが楠瀬監督退任後にチームを引き継いだ浦和の堀監督だ。
浦和の監督交代の背景について僕は何も知らないが、形としては外様である楠瀬氏を外してレッズ生え抜きの堀氏が起用されたという結果になった(堀氏は、新シーズンも継続して監督を務めることになった)。
浦和では、今季開幕前にサイドバックを務めていた遠藤優もイングランドのウェストハム・ウィメンに移籍。さらに、若手MFとして活躍を期待されていた角田楓佳も、今シーズンのリーグ開幕後の9月になって同じくイングランドのブライトン&ホーブ・アルビオンに移籍してチームを離れた。
こうして、浦和は就任したばかりの堀監督の下で、主力が何人も抜ける形で新シーズンを迎えることになった。
■記者仲間で「悪名が高かった」のは?
堀氏はJリーグ開幕を控えた1992年に浦和レッズに加入して、FWやMFとしてプレー。引退後は湘南ベルマーレで指導者としての経歴をスタートし、浦和ではユース(U-18)監督を経てトップチームのコーチとなり、2011年にゼリコ・ペトロビッチ監督解任にともなって監督に昇格。その後、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下でコーチを務めていたが、2017年に同監督が解任されると堀氏は再び監督となった(翌シーズンも監督を務めたが、途中解任)。
男子のJリーグでも監督を経験している指導者だけに、指導力としては問題ないだろうが、堀監督はこれまで女子サッカーに関わったことがなかった。そして、チームから昨年までの主力選手が何人も抜けたことなど、不安材料は多かった。
堀監督は男子の浦和レッズの監督を2度も務め、その後、東京ヴェルディやベガルタ仙台でも短期間監督となったので、女子サッカーの知識がない方もよくご存じのことだろう。
堀氏はJリーグ監督の頃から記者会見では一般論以上のことを話そうとしないので記者仲間では“悪名”が高かったが、レディース監督となった今もその部分はブレていないようで、「浦和番」記者たちは具体的な質問を投げかけてもはぐらかされ続けて、かなり苦戦しているようだ。