大相撲の大関経験者で西幕下筆頭の朝乃山(31=高砂)が、35度前後の屋外稽古場で精力的に汗を流した。名古屋場所(13日初…
大相撲の大関経験者で西幕下筆頭の朝乃山(31=高砂)が、35度前後の屋外稽古場で精力的に汗を流した。名古屋場所(13日初日、IGアリーナ)に向けて5日、愛知・蟹江町の部屋で、部屋の幕下以下を相手に、精力的に19番取って17勝2敗。得意の右四つに組み止めれば一気の寄り切り、組み止められなくても慌てず押し出したり、左四つからじりじりと寄り立てたりと、地力の違いを見せた。
「6月からずっと部屋でやってきた。寒い時期よりも、暑い方が体は動くので」。砂まみれになった体を、ホースから流れる水で洗い流しながら笑顔で、状態が上向いている実感を口にした。番付発表翌日の今月1日からは、3日だけ相撲を取る稽古を行わなかった。だが、それ以外は連日15~20番程度取ってきた。前日4日には、出稽古に来たともに前頭の王鵬、豪ノ山とも胸を合わせた。
左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの大けがを負ったのが、昨年の名古屋場所4日目だった。それから1年近くが経過。再起した3月の春場所は三段目優勝。5月の夏場所は西幕下14見目で6勝1敗だった。今場所は勝ち越せば十両再昇進が有力。ただ、朝乃山が見据えるのはもっと上。年内の幕内返り咲きを目標に掲げるからこそ、十両を秋場所の1場所で通過できる番付まで上げるためにも、今場所は7戦全勝が目標。「ハードルは高いですけど頑張りたい」と、力を込めた。
痛めた左膝だけではなく、筋力のバランスを取る意味で右膝にもサポーターを巻いて稽古している。その左膝は痛みや違和感などはないが「連続で取っていったら、やっぱり」と、疲労の蓄積によって異変が起きないか心配もするという。続けて「いかに、そこで(連続して取っている時に)集中して相撲を取るか。油断してしまわないように」と、以前にも増して集中して稽古していると打ち明けた。
「気が付いたら、もう1年経ったんだなという感覚。また幕内の上位に行って、横綱と戦いたい。ただ、その前に着実に1歩1歩。いろんな思いがあります」。暑さの中で、この日は部屋の誰よりも番数を重ねてスタミナもつけ、まずは確実に十両返り咲きをつかみ取る場所にする決意だ。