〈国内女子ゴルフツアー:ニチレイ・レディース〉◇第2日◇21日◇千葉・袖ケ浦CC新袖C(6594ヤード、パー72)◇賞金…
〈国内女子ゴルフツアー:ニチレイ・レディース〉◇第2日◇21日◇千葉・袖ケ浦CC新袖C(6594ヤード、パー72)◇賞金総額1億円(優勝1800万円)◇曇り時々晴れ、28・5度、西南西の風5・1メートル◇観衆4843人
ルーキー一番乗りの優勝が見えた! 首位と1打差の2位から出た入谷響(19=加賀電子)が、2位に4打差の首位に立ち、初優勝に王手をかけた。8バーディー、1ボギーのベストスコア65と7つ伸ばし、通算12アンダー、132。7バーディーを量産した後半の29は、ハーフの自己ベストを2打も更新した。フェアウエーが狭いコースの今大会もドライバーで攻める、世界規模の活躍を予感させる飛ばし屋。新星誕生はカウントダウンに入った。
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覚醒したことが、自分でも分かった。最終18番パー5のグリーン上。普段なら気付かない小さな黒いシミを、入谷は見つけた。「ラインが見えた。黒いシミの上を通れば入る」。距離は1・5メートルだが、カップ2個分も曲がるカラーからの難しい第4打。それをパターで沈め、8個目のバーディーを奪った。2位に4打差をつける独走に「なんか、楽しくやってました」と、満面の笑みで振り返った。
前半は1バーディー、1ボギーと伸ばせなかった。首位との差は、スタート時の1打から4打に広がっていた。後半開始までの数十分間のインターバルで、残りホールの戦略を立てた。前半はパー4、5の計7ホールのうち、2ホールで握らなかったドライバーを、後半はパー3の2ホール以外、全て使うと決めた。
ドライバー平均飛距離258・21ヤードは、ツアー2位の飛ばし屋だ。ただフェアウエーが狭く、ラフが深い今大会。「こういうコースだと飛距離を出しても…」と、持ち味を生かし切れないと分かっていた。だから腹をくくった。「ビビってやっちゃうとクラブを振れなくなる。フェアウエーに行ったら良し。ラフに入ったら、その時に考える」。中途半端なスイングだった前半から一転、本来の思い切りの良さを取り戻した。
後半は2ホールでティーショットがフェアウエーを外したが、ノビノビとプレーした。10番から、いきなり4連続バーディー。うち3ホールは2打目以降で1メートル以内につけるなど、ショットも覚醒した。16番からはグリーン上がさえ、3連続バーディー締め。「20台は初めて」と、ハーフ29は自己ベストを2打更新だ。
首位で最終日を迎えるのは、4月の富士フイルム・スタジオアリス女子に次いで2度目。前回は最終日に1打落とし、1打及ばずにプレーオフ進出を逃した。「焦りが出てしまった。どこまで落ち着いてプレーできるか」。前回は2位に1打差だったが、今回は4打差。優勝争いも初めてではない。次代を担う大器が、最初の優勝をつかむお膳立ては整った。【高田文太】
◆入谷響(いりや・ひびき)2005年(平17)12月21日、愛知県豊川市生まれ。6歳から始める。昨年11月の最終プロテストは7位で合格。QTランキング18位で今季前半戦の出場権を得た。3月のアクサ・レディース6位を皮切りに、トップ10入りはツアー9番目に多い4度。4月の富士フイルム・スタジオアリス女子は最終日に単独首位で臨み、初の最終日最終組も4位。今季メルセデス・ランキング16位。現在は朝日大2年。師匠は中嶋常幸。家族は両親と兄、姉。160センチ、75キロ。血液型B。