「レスリング・明治杯全日本選抜選手権」(20日、東京体育館) 女子53キロ級が行われた。21年東京五輪金メダルで、昨年…
「レスリング・明治杯全日本選抜選手権」(20日、東京体育館)
女子53キロ級が行われた。21年東京五輪金メダルで、昨年11月に第1子の長男を出産した志土地真優(ジェイテクト)が、産後では7カ月、大会としては2年ぶりに実戦復帰。2回戦で敗れたものの、「パリ五輪を見ていて、有観客で子どもが応援しているのはすてきだなと思った。ロス五輪で金メダルを取ることを目標に頑張っていきたい」と気持ちを新たにし、“ママでも金”を誓った。
五輪の頂点に立った実力をのぞかせた。初戦は相手のタックルを上から覆いかぶさるようにつかまえ、体を回転させて2点を追加。その後もスピードで圧倒して何度も背後を奪い続けた。
2回戦は23年世界選手権55キロ級女王の村山春菜(自衛隊)と対戦。第2ピリオドまで1点を追いかける苦しい展開が続き、最後は連続得点を許して1-5で敗れた。「7月に復帰しようと思っていたが、(今大会の)出場権があったので挑戦してみようと思った。五輪階級に挑戦できたのはよかった」と手応えを示しつつ、「思った以上に悔しい」とアスリートとして大粒の涙を流した。
東京五輪後、現在もコーチを務める翔大さんと結婚。24年パリ五輪は、のちに金メダルを獲得する藤波朱理(日体大)に国内選考で敗れて出場を逃した。「子どもを産んで五輪にいきたい思いがあった」と昨年11月に長男を出産し、わずか1カ月後から練習を再開。国立スポーツ科学センター(JISS)のサポートを受けながら、産前から懸垂や負荷を減らしたウエートトレーニングなどを「(出産)ぎりぎりまでやっていた」と許可の範囲内で臨月まで実施し、復帰に向けて準備してきた。
現在は母校の東京・安部学院高が拠点。長男も練習を静かに見守ってくれているという。最大の目標は、21年東京五輪以来2大会ぶりの五輪の頂点だ。「出産前は自分の準備だけだったが、今日は朝から子供の準備もして新鮮な気持ち。力が2倍になった感じ」と親になったかこその力も感じている。「勝ちたい気持ちがより強くなった。今回よりパワーアップした姿を見せたい」。母になった志土地が再スタートを切った。