<ボクシング:プロボクシングWBO世界ウエルター級>◇19日◇東京・大田区総合体育館世界初挑戦のWBO世界ウエルター級2…
<ボクシング:プロボクシングWBO世界ウエルター級>◇19日◇東京・大田区総合体育館
世界初挑戦のWBO世界ウエルター級2位佐々木尽(23=八王子中屋)が失神KOで敗れ、王座獲得を逃した。同級王者ブライアン・ノーマン(24=米国)に挑戦したが、計3度のダウンを許して5回0分46秒、KO負けを喫した。同回開始すぐに左フックを浴び、キャンバスに大の字で倒れ込んで敗退。担架で運ばれると病院に救急搬送された。過去に日本人世界王者ゼロという同級の世界挑戦となったが、佐々木は日本ボクシング界の歴史を変えることはできなかった。
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3回以内に相打ち狙いで強打を決めれば、佐々木にも勝機はあると思っていた。悔やまれるのは1回の2度のダウン。体が温まる前に側頭部に左フックを打ち込まれた。予想外のパンチで効いてしまった。あのダメージが最後まで影響したと思う。
それでも2回から気迫で打ち返して“もしや”という見せ場をつくった。よく戦ったし、観客にもウエルター級の迫力が十分に伝わったと思う。ただノーマンは一級品の王者で、パンチが的確で質も違っていた。ディフェンスにも優れ、パンチを紙一重で外して決定打を許さなかった。
残念だが、これがいまだ日本人世界王者が誕生していないウエルター級の“世界の壁”だ。ノーマンのボクシングからこの階級のレベルの高さが伝わってきた。彼はまだ24歳。あのレナードやハーンズのようなスーパースターがまとう雰囲気を感じる。どれだけ成長するか楽しみだ。
佐々木も見せ場はつくった。手の届かない差だとは思わない。日本人でもやれると思わせてくれた。佐々木もこれを良い経験にして、さらにレベルアップしてほしい。(元WBA、WBCミニマム級王者)