マリナーズ傘下のマイナー、3Aタコマは17日(日本時間18日)、藤浪晋太郎投手(31)を自由契約にしたと発表した。米球…

 マリナーズ傘下のマイナー、3Aタコマは17日(日本時間18日)、藤浪晋太郎投手(31)を自由契約にしたと発表した。米球界3年目の今季は21試合に登板し、2勝1敗、防御率5・79と精彩を欠いていた。藤浪の代理人を務めるスコット・ボラス氏は同日、デイリースポーツの単独取材に応じ、「日本を含め、次の働き場所を探していく」と日本球界復帰の可能性を否定しなかった。

 2年ぶりのメジャー昇格を目指す藤浪に厳しい現実が突きつけられた。チームはこの日、本拠地チェニー・スタジアムで行われたアルバカーキ戦の試合前に構想外を通達。開幕から約3カ月、シーズン折り返しを前にして退団が決まった。

 阪神からポスティングシステムを利用し、海を渡って3年目の今季は1月にマリナーズとマイナー契約で合意。メジャーキャンプに招待選手として参加したが、オープン戦で首脳陣を納得させるような結果を残せず、3Aに配置された。

 ここまで中継ぎで21試合に登板し、2勝1敗、4ホールド、防御率5・79。18回2/3を投げて24奪三振の一方で26四死球を記録している。5月以降は課題の制球も安定感を増し、直近8試合は無失点。走者を背負いながらも粘りの投球を披露していた。

 球団発表後に本紙の単独取材に応じた代理人のボラス氏は「彼がチームにフィットしなかったということ」と説明。「(自由契約は)たった今、起こったことなので、まず彼と話をして希望を確認する。そして、今後のことを考えていきたい」と話した。

 メジャー昇格の可能性のある球団と話を進めていくことが前提となるが、同氏は「日本を含め、次の働き場所を探していく。全てのチームを見ていくことになる」と語り、米国内だけでなく、日本球界復帰の選択肢も排除せず、移籍先の幅を広げる考えを明かした。

 藤浪の魅力はフィジカルの強さと速球だ。5月29日の試合では今季最速の161・5キロを計測した。ボラス氏は「彼は健康だし、今でも強いボールを投げることができる。これからも投げ続ける」と、新たな契約に自信を見せた。

 昨秋にはプエルトリコのウインターリーグで“武者修行”に参加するなど、野球への情熱が衰えることはない。注目を集める31歳剛腕の新天地。プロ13年目の藤浪が大きな転機を迎えようとしている。

 ◆藤浪 晋太郎(ふじなみ・しんたろう)1994年4月12日生まれ、31歳。大阪府出身。198センチ、82キロ。右投げ右打ち。投手。大阪桐蔭高から12年度ドラフト1位で阪神入団。13年4月14日・DeNA戦(甲子園)でプロ初勝利を挙げた。15年に最多奪三振のタイトルを獲得。17年にはWBC日本代表に選出された。22年オフにポスティングシステムでMLB挑戦を表明、アスレチックスと契約を結んだ。23年7月にオリオールズへ移籍。24年はメッツ、25年はマリナーズと契約した。

 【藤浪の米挑戦経過】

 22年10月17日 阪神がポスティングシステム利用した米大リーグ挑戦を容認したと発表。

 23年1月14日 アスレチックスが1年契約で合意したと発表。年俸325万ドル(約4億2000万円)プラス出来高100万ドル(約1億3000万円)。背番号11。

 4月2日 エンゼルス戦でメジャー初登板。先発で2回1/35安打3四球8失点で敗戦投手に。大谷(現ドジャース)に左翼フェンス直撃の適時打を浴びる。

 5月13日 レンジャーズ戦の延長十回途中から登板し、2/3回無失点でメジャー初勝利。

 7月20日 オリオールズへの電撃トレードが発表。背番号14。

 11月3日 フリーエージェント(FA)となる。

 24年2月15日 メッツが1年契約を結んだと発表。年俸335万ドル(約5億1000万円)で最大85万ドル(約1億2800万円)の出来高払い。背番号19。

 3月24日 メッツ傘下のマイナー、3Aシラキュースに降格。

 5月14日 メジャー昇格と15日間の負傷者リスト入り。

 7月27日 メッツがメジャー出場の前提となる40人枠から外したと発表。事実上の戦力外となる。

 10月31日 フリーエージェント(FA)となる。

 25年1月31日 マリナーズがマイナー契約を結び、キャンプに招待選手として参加すると発表。

 6月18日 マリナーズ傘下のマイナー、3Aタコマが自由契約にしたと発表。