「柔道・世界選手権」(14日、ブダペスト) 女子52キロ級決勝が行われ、21年東京五輪金メダルの阿部詩(パーク24)が…
「柔道・世界選手権」(14日、ブダペスト)
女子52キロ級決勝が行われ、21年東京五輪金メダルの阿部詩(パーク24)が、パリ五輪銀メダルのディストリア・クラスニチ(コソボ)に背負い投げで一本勝ちし、5度目の優勝を果たした。2回戦で敗れた昨夏のパリ五輪から約11カ月。23年世界選手権大会以来2年ぶりに女王の座に返り咲き、リベンジの28年ロサンゼルス五輪に向けて最高のスタートを切った。
初戦となった2回戦は、キプロス選手に内股で一本勝ち。3回戦はパリ五輪銅メダルのアマンディーヌ・ブシャール(フランス)に延長戦の末に反則勝ちした。準々決勝では出口ケリー(カナダ)を小外刈りで、準決勝ではマシャ・バルハウス(ドイツ)に袖つり込み腰で一本勝ちを決めた。
迎えた決勝。袖口に親指を入れられてなかなか切れない展開が続いたが、残り57秒で、両膝を付いた低い姿勢から放つ豪快な背負い投げがさく裂。一本が宣告されると、両拳を握りしめ、笑みがはじけた。畳から降りる際には、涙もぬぐった。悪夢を味わったパリ五輪から復活した実感をかみしめた。
パリ五輪とは状況が逆だった。4度目の兄妹アベックVがかかった今大会。兄・一二三は、キューバ選手に2119日ぶりの黒星を喫し、準々決勝で姿を消した。パリ五輪では自身が2回戦で敗れ、その後に兄が2連覇を達成し、再起の勇気をもらった。この日は兄の思いを背負い、詩が世界一を取った。