「広島2-2ヤクルト」(22日、マツダスタジアム) 広島ドラフト1位の佐々木泰内野手(22)=青学大=がうれしいプロ初安打をマークした。2試合連続で先発出場し、二回に右翼線へ二塁打を放ち、ベース上で右拳を突き上げた。六回にも中前打を放って…

 「広島2-2ヤクルト」(22日、マツダスタジアム)

 広島ドラフト1位の佐々木泰内野手(22)=青学大=がうれしいプロ初安打をマークした。2試合連続で先発出場し、二回に右翼線へ二塁打を放ち、ベース上で右拳を突き上げた。六回にも中前打を放ってマルチ安打を記録。守備でも華麗なジャンピングスローを披露するなど、期待の若武者が攻守に躍動した。試合は延長12回、2-2で引き分けた。

 期待の“泰砲”が待望の一打を放った。自慢のフルスイングから放たれた打球が右翼線に弾むと、迷いなく二塁へ。温かい拍手が送られる中、白い歯をこぼしながら右拳を突き上げた。佐々木がプロ初安打をマーク。「まずは1本(安打を)出したいです」と意気込んでいた中、初めてHランプをともした。

 その瞬間は二回に訪れた。2死で迎えた第1打席。小川の初球、112キロのカーブを捉えた。打球は一塁・オスナのグラブをかすめて右翼線へ。20日のデビュー戦後に「ワンプレーごとの歓声がすごかった」と感動していた本拠地の大歓声を浴びた。1点を追う六回2死では外角の直球を中前に運び、マルチ安打を記録。小さなガッツポーズで控えめに喜んだ。

 守備でもアグレッシブな姿を見せた。1点ビハインドの四回2死一、二塁の場面。北村拓が放った三遊間へ放ったボテボテの打球に対し、猛チャージした。矢野も捕球体勢に入っていたが、割り込むように捕球し、流れるようなジャンピングスローを披露。華麗な守備で鯉党を魅了した。

 プロ入り後は多くの時間を3軍(リハビリ組)で過ごしてきた。ともに汗を流し、我慢の日々を見守ってきた迎3軍野手総合コーチは「彼は自分のやるべきことをしっかりとやっていました」とひたむきに取り組んでいた姿勢を評価する。

 そんな佐々木と打撃投手として対峙(たいじ)するたびに言葉にしがたい“何か”を感じるという。「根拠のない、説明できないすごさを感じるんですよ。彼の立ち姿、ボールを待つ構え、その一つ一つに外から見ているだけでは決して分からない雰囲気がある」と同コーチ。打者とは本来、投手の球を“受ける”側の存在。しかし佐々木は、どこか投手に“投げさせている”ように見えるのだという。自らの間合いに引き込む力。それは努力や技術を超えた生まれ持った才能だ。「試合に出さえすれば、必ず結果を残すと思います。愛される選手になってほしいですね」とほほ笑みながら大きな期待を寄せた。

 記念すべき一打が出たものの、同点の八回2死二塁では空振り三振に倒れ、天を仰ぐ悔しい場面もあった。無限の可能性を秘めた期待の大砲。本領発揮はここからだ。

 ◇佐々木 泰(ささき・たい)2002年12月24日生まれ、22歳。岐阜県出身。178センチ、84キロ。右投げ右打ち。内野手。県岐阜商、青学大を経て24年度ドラフト1位で広島入団。プロ初出場初スタメンは25年5月20日・ヤクルト戦で「7番・三塁」。座右の銘は「一生懸命が一番カッコイイ」