コメの価格高騰は、相撲部屋にも影響を与え始めている。力士たちは食べることも仕事と言われる。コメの消費量は、一般家庭の比ではない。相撲部屋は消費が多いため、コメを備蓄しているところが多い。また、後援者らからの差し入れがあるため、頻繁に購入して…

コメの価格高騰は、相撲部屋にも影響を与え始めている。力士たちは食べることも仕事と言われる。コメの消費量は、一般家庭の比ではない。

相撲部屋は消費が多いため、コメを備蓄しているところが多い。また、後援者らからの差し入れがあるため、頻繁に購入しているわけではない。それでも、価格高騰は直接的にも間接的にも、ちゃんこに影響してくる。いくつかの部屋の師匠に聞いた。

力士数20人を率いる九重親方(元大関千代大海)は「コメはまだ大量にあるけど、なくなってきた時には考えないといけない。炊き込みご飯とか、たけのこご飯の時の方が、コメをガツガツ食わない。(鍋に)麺を最初から入れたりとか。そこは敏腕ちゃんこ長が考えてくれてるから」と話した。30キロの米袋は、3、4日で食べきってしまうという。同時に「コメは食うけど、うどんを増やしているという部屋があると聞いた」とも教えてくれた。

同じく20人を抱える木瀬親方(元幕内肥後ノ海)は、価格高騰の影響について「ある」と即答した。「今まで(差し入れで)送ってくださっていたところが、送ってくれなくなったりしました」と実情を明かした。これまでは、特に地方場所で大量に差し入れてもらったコメを東京に持ち帰って食べることも多かったという。「これまで、(余剰分を)施設とかに配っていたのが、できなくなりました。昨日も福島からお客さんが来ていて、そういう話をしていたところです」とも話してくれた。

力士数11人の押尾川親方(元関脇豪風)は「(親方の地元)秋田のコメを食べさせたいので、買うこともあります。コメは高いので、麺を食べる日にしたりとか、みんなで工夫しています。ちゃんこは、バランス良く、おいしく、楽しくいただきたい。リラックスする時間ですから」と話す。知り合いの農家に話して、協力をお願いしたいという。

力士数26人の高砂部屋は、1日で15キロのコメを消費するため、30キロの米袋は3日はもたないという。高砂親方(元関脇朝赤龍)は「コメは一番必要なもの。応援してくれる後援者からいただいているので、ありがたい。もちろん、買うこともあります。食べるのも力士の仕事ですから」とコメントした。

力士数21人の玉ノ井部屋では、1日8升ものコメを平らげてしまう。玉ノ井親方(元大関栃東)は「先代のころから、福島の方からいただいている。お米を食べさせていただいて、本当にありがたい」。貴重なコメのロスを避けるため、炊いて残った分は、チャーハンにするなど工夫している。

力士数16人の佐渡ケ嶽部屋は、4升釜が2つ、2升釜と1升釜が1つずつある。若い衆だけで1日6升は食べるという。佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「ありがたいことに(親方の地元)山形のお米をいただいております。若い衆が『これだけ高いのに、ありがたいです』と言っていました」と証言した。

どの部屋も差し入れがあるが、代わりに麺を食べたり、食べ方を変えたり、工夫を始めている。またこれまで以上に、コメの価値を認識しながら食べている。【佐々木一郎】