ついに来た。広島のドラフト1位・佐々木泰内野手(22)=青学大=が20日・ヤクルト戦(マツダ)から1軍に初昇格する。19日、マツダスタジアムへ野球道具を運び込み、「これからがスタート」と目をギラつかせた。即戦力の右のスラッガーが本拠地デビ…

 ついに来た。広島のドラフト1位・佐々木泰内野手(22)=青学大=が20日・ヤクルト戦(マツダ)から1軍に初昇格する。19日、マツダスタジアムへ野球道具を運び込み、「これからがスタート」と目をギラつかせた。即戦力の右のスラッガーが本拠地デビューからの大アーチならぬ、“泰アーチ”を広島の夜空にかける。

 お昼時のマツダスタジアム。1台のタクシーが月曜日で閑散とする関係者口に入っていた。そのタクシーの車両上部についている社名表示灯には『どりーむ』の文字。中から降りてきたのは夢を大きく膨らませたドラフト1位・佐々木だった。いよいよ始まる1軍ライフ。バットをトランクから取り出してロッカーへ運び込むと、大きな目標を口にした。

 「まずは結果を残していかなければいけない立場なので、与えられた打席、一打席一打席で結果を出していくことをまずは目標にやっていく。いい場面で回ってきたら、必ず打ってランナーをかえせるように。また1本、ホームランを打てるようなバッティングをしたいと思います」

 力強い言葉が並んだ裏には絶好調の打撃がある。左太もも裏の肉離れから実戦復帰したのが4日のウエスタン・阪神戦(由宇)。そこから8試合に出場し、23打数13安打、打率・565、1本塁打、4打点と圧倒的な数字を残した。直近は18日の同・オリックス戦(東大阪)でスタメン出場し、適時打と中越え二塁打の2安打。「打つ瞬間、ボールを捉える時だけ100%の力を出せるようなフォームが今、できている」と現状に手応えをにじませる。

 青学大時代の昨年11月の神宮大会で左肩を脱臼し、完治を優先してキャンプは2軍で消化。3月から合流した1軍の舞台でも、同5日・DeNAとのオープン戦の走塁中に左太もも裏の肉離れを発症し、ケガに泣かされた。

 だが、転んでもただでは起きない。実績者の秋山や坂倉とリハビリをともにする機会に恵まれた。準備の重要性やトレーニング法を聞き出し、「1軍でやられている方の話を聞きながら一緒にできて、自分的には充実した期間になった。2軍で復帰してからもすごく良い感覚でずっとできていたので、すごい自信になった」とうなずいた。

 昇格を決めた新井監督は「そのまま思い切ってやってくれればいいです。数字だけじゃなしに、内容的なものもすごくいい。楽しみ」と期待を寄せた。佐々木も「これからがスタートになると思うので、2軍の結果は忘れて、また一からやっていきたい」と気合。期待の若武者が満を持して夢の舞台に立つ。

 ◇佐々木 泰(ささき・たい)2002年12月24日生まれ、22歳。岐阜県大垣市出身。右投げ右打ち。内野手。178センチ、84キロ。小野小1年から小野野球少年団で野球を始め、東中では岐阜ボーイズに所属。県岐阜商では1年春から4番。高校通算41本塁打。青学大では1年春からリーグ戦に出場。24年度ドラフト1位で広島に入団。