「西武3-2オリックス」(17日、ベルーナドーム) 西武・今井達也投手(27)が安定した投球を続けている。8回を4安打1失点にまとめ、防御率0・59は依然として第1位。救援した平良が同点打を浴びて5勝目こそフイにしたが、デイリースポーツウ…
「西武3-2オリックス」(17日、ベルーナドーム)
西武・今井達也投手(27)が安定した投球を続けている。8回を4安打1失点にまとめ、防御率0・59は依然として第1位。救援した平良が同点打を浴びて5勝目こそフイにしたが、デイリースポーツウェブ評論家の野田浩司氏は「制球が明らかによくなっている」と語り、「リキみが消えた」投球フォームの変化を指摘した。
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今井は今シーズン見せている投球そのままの内容でしたね。コントロールが明らかによくなっている。
とにかくフォームにリキみがない。まるでキャッチボールをしているかのような投げ方になっている。それでいて速い。だからこそ速いとも言えるんだけどね。
投手は力を抜いて投げるのが一番難しいんですよ。どうしても“打たれたくない”という思いがあるから力が入りがちになる。
昨年までの今井にもそういう傾向があった。自慢の速球とキレのいいスライダーを持ちながら突如の四球連発で自滅するタイプだった。
それでも23年、24年と2年続けて二桁勝利を挙げて立派な成績を残してきたが、その今井から今年はリキみによる制球不安が消え、逆に凄みを感じるようになった。
(今井の与四球率は23年=4・13、24年=3・63、25年=17日現在2・51)
キャッチボールのような力感のないリラックスした状態から、リリースポイントだけを意識して投げるようにすると、より多くの力をボールに伝えることができる。
打者目線で見ても、より速く感じると言いますからね。これを今の今井がやっている。
かつてソフトバンクや巨人で活躍した杉内(俊哉)がそんな投球でしたね。右足を上げて着地、リリースまでの力の配分をゼロ、ゼロ、そして100パーセントみたいな感じで投げていた。
強い球を投げていることがよく分かったのは、四回一死一、二塁から太田を遊ゴロ併殺打に仕留めたシーン。捕手は外角に構えていたが、ボールはシュート回転した内角への逆球になった。
太田にしてみればベルト付近の甘い球に見えただろうが、バットが折れるほどの強い球がきていた。普通はシュート回転するとボールの威力は落ちるものだが、ほとんど落ちていなかったね。
フォームがコンパクトになり、リリースの瞬間にすべてを集約したような投球。これで制球力が圧倒的に向上し、球威アップも感じさせている。また得意のスライダーに限らず、どのボールでも勝負できるぐらいに投球レベルが上がっている。それが今年の今井。
大きな動きを使わないシンプルな投げ方というのは、そもそも馬力がないとできない。そういう意味では腹背筋や下半身など、かなり軸がしっかりしているのだと思う。
脱力が生み出す凄みとでも言うのかな。まだタイムリーヒットを打たれていないのだから本当に驚くばかり。この試合のように勝ち運に恵まれない日もあるだろうけど、今年は相当勝てるんじゃないか。打線が昨年よりは期待できそうだしね。