「阪神2-4広島」(16日、甲子園球場) 執念の一打を打線爆発へのきっかけにしたい。阪神・前川右京外野手(21)が、2点を追う七回無死一、二塁で反撃の右前適時打。チームとして35イニングぶりの適時打を放った。5試合連続で2得点以下と苦しむ…

 「阪神2-4広島」(16日、甲子園球場)

 執念の一打を打線爆発へのきっかけにしたい。阪神・前川右京外野手(21)が、2点を追う七回無死一、二塁で反撃の右前適時打。チームとして35イニングぶりの適時打を放った。5試合連続で2得点以下と苦しむ打線にあって、4安打を集中して2点を奪った七回の攻撃は明るい材料。次こそ打線が奮起して、新井鯉から首位を奪い返す。

 ボルテージが急激に高まる中、前川は集中力を研ぎ澄ました。久しぶりの先発出場で結果もほしかったはず。それまで2打席は凡退していたが、このチャンスは逃さなかった。「みんながつないでくれたんで、感謝したいなと思います」。相手先発・森下の変化球に食らいついた。

 2点ビハインドの七回無死一、二塁。佐藤輝と大山が連打でお膳立てしてくれた。「輝さん(佐藤)と大山さんが連打で流れを作ってくれたので、自分も思い切って打ちにいきました」。初球のチェンジアップは体を前に出されて、見逃しストライク。それでも、2球連続のチェンジアップには惑わされない。体を残して振り抜くと、一、二塁間を破って、貴重な1点をたたき出した。

 一塁上では左手をグッと握り締め、力強く振り下ろす。「得点につながって良かったです」。10日の中日戦(甲子園)以来、4試合ぶりの先発出場で7打席ぶりの安打が反撃の適時打。得点力不足に嘆く中、11日・同戦の初回以来、チーム35イニングぶりのタイムリーを生み出した。

 開幕から左翼のスタメンをつかみ、3、4月は打率3割超え。しかし、5月になると苦しみ出した。19打席連続無安打もあるなど、月間打率は・094。高寺や同期の中川にスタメンを奪われることも多くなった。これで終わるわけにはいかない。「ちゃんと頭を整理していけたんで、良かったなと思います」。試合の中での修正もうまくいった。

 ただ、九回は栗林の前に力のない中飛。最後の打者になり、悔しそうにグラウンドを後にした。打線としては5試合連続で2得点以下となり、平均1・2得点と貧打が続いている。前川にとってはどんな起用であれ、試合に臨む気持ちは変わらない。「頑張れたらなと思います」。目の前の一試合、一打席に全神経を使っていく。