「阪神2-4広島」(16日、甲子園球場) 追い付いても勝ち越せず、藤川阪神が首位の座を明け渡した。2点を追う七回に4安打を集めて追い付き、なお1死一、三塁と攻め込んだが、勝ち越し点が奪えない。九回には守護神・岩崎が踏ん張れず、新井鯉に競り…
「阪神2-4広島」(16日、甲子園球場)
追い付いても勝ち越せず、藤川阪神が首位の座を明け渡した。2点を追う七回に4安打を集めて追い付き、なお1死一、三塁と攻め込んだが、勝ち越し点が奪えない。九回には守護神・岩崎が踏ん張れず、新井鯉に競り負けた。好機であと一本が出ない打線。藤川球児監督(44)は「誰かが突き破らなければいけない」と奮起を促した。
虎党の切なる願いは届かなかった。球審の両手が勢いよく広がると、スタンドに悲鳴が響き渡る。甲子園での広島との首位攻防第1ラウンド。藤川監督が絶大な信頼を寄せる守護神・岩崎が打たれ、12日ぶりに首位を明け渡してしまった。
サヨナラ勝ちへの期待が高まる中、九回に悲劇が待っていた。3番手・岩崎は先頭・末包に四球。2死二塁とピンチを広げると、モンテロの痛烈な打球が中前へ。近本はすぐさま二塁・中野へ返球。中野は懸命にホームへ送球したが、本塁生還を許してしまった。
さらに、矢野に中越え二塁打を許したところで岩崎は降板。「戦う姿勢を崩さずにやっていきます」。通算100セーブが目前に迫る左腕は必死に前を向く。藤川監督も「先頭の四球?同点でしたから。いろんなケアをしながらですから」と左腕の心情に寄り添う。
重苦しい雰囲気を打破できない。この夜も森下を打ち崩せず、終始劣勢を強いられた。2点を追う七回にようやく4安打を集中させて同点。なお1死一、三塁。一気呵成(かせい)に攻めたい場面で森下と通算対戦打率・320を誇る楠本を代打に送った。しかし、打球は一塁正面へ。モンテロはベースを踏むと、本塁へ送球。三走・前川が挟まれ、痛恨の併殺に終わった。一気に追い越したいシーンだっただけに、指揮官の口調も自然と強くなった。
「もちろん、そうですね。ベース際の、この前から多いですけどね。誰かが突き破らなければいけないというところですね」
引き分けに持ち込んだ13日・DeNA戦でも、0-0の七回1死満塁のチャンスで代打・渡辺が三ゴロ併殺に終わった。決定打を欠く打線は5試合連続2得点以下と元気がない。ここ3試合は一度もリードを奪えず、フラストレーションは募るばかりだ。
「各自が分かっていると思いますから。また明日ですね」。藤川監督は前向きな言葉を発して会見場を後にした。アグレッシブなプレーこそ、指揮官が求める姿。森下、大山が無安打地獄から抜け出すなど、打線復調へ光は差しつつある。グラウンドで暴れ回り、停滞ムードを打ち破りたい。