◇国内女子◇Sky RKBレディスクラシック 初日(16日)◇福岡雷山GC(福岡)◇6489yd(パー72)◇曇り(観衆1515人)堀奈津佳は開口一番、おどけてみせた。「カップが大きかったんですかね?」。ボギーなしの「64」は、2013年…

12年ぶりに自己ベストタイ「64」をマークした堀奈津佳

◇国内女子◇Sky RKBレディスクラシック 初日(16日)◇福岡雷山GC(福岡)◇6489yd(パー72)◇曇り(観衆1515人)

堀奈津佳は開口一番、おどけてみせた。「カップが大きかったんですかね?」。ボギーなしの「64」は、2013年6月「アース・モンダミンカップ」(3R)以来、12年ぶり3度目のツアー自己ベストタイスコア。首位発進は15年3月「Tポイントレディス」以来10年ぶりだ。「私、何やっても“何十年ぶり”だとか言われちゃいます」と、照れくささをごまかすように笑った。

あっと驚くバーディラッシュだった。前半11番(パー5)で60ydの第3打を58度のウェッジで2mにつけたのを手始めに、硬く締まったグリーンでチャンスを量産。最終9番は147yd先の奥ピンに対し、8Iでグリーン面を10m以上使い、ドンピシャの距離感で1.3mにつけて8個目のバーディで締めくくった。

「カップが大きかったんですかね?」

プロ3年目の2013年に20歳でツアー2勝を挙げながら、15年にシード落ち。16年はレギュラーツアーで1円も稼げず、賞金は下部ツアーの7万5000円だけ。17年と19年は賞金0円だった。「“辞めなきゃいけないのかな”とか “プロゴルファーでなくなってしまった”と思ったこともあった」。ショットの不調に端を発した大スランプは約10年も続いた。

トンネルの出口に向けた歩みは昨年3月のツアー開幕時から。妹の琴音の復活をあと押した森守洋コーチに師事すると、笑いながら「大丈夫だよ」と言われた。「あの時の前向きさに“そうなのかな”と思えて」。上から入りがちだったスイング軌道を直し、体の動きと、スイングやリズムのズレの修正に地道に取り組んだ。

それでも今季は下部ツアー出場も厳しいQTランク197位で迎え、ここまで推薦出場したツアー3試合は予選落ち2回と4月「ヤマハレディース」の65位。大爆発の予兆があったとは思えぬ結果が続いていた。

優勝ならツアー最長ブランク記録を更新する

「ずっと取り組んできたことが出たとしか思えない」一日。きっかけがあったとすれば、メンタル面かもしれない。3月末「アクサレディース」で同学年、プロ合格同期の工藤遥加が初優勝を飾った。出場できなかった堀は練習場で、U-NEXTのネット中継をスマートフォンで観戦。「私、もう16番ぐらいから泣いてました。遥加ちゃんが苦しんできたのをずっと見てきたし」。仲間の奮闘で闘志に火がついた。

リーダーボードのてっぺんに自分の名前があることがピンとこない。「ちょっと不思議な感じです。明日以降、どうなるかわからないですし」。まだ復活の確信はない。ただ、32歳になった今も「64」を出せた。2013年「アース・モンダミンカップ」以来のツアー3勝目となれば「11年322日ぶり」。金田久美子が22年「三菱電機レディス」で樹立した「11年189日ぶり」のツアー最長ブランク優勝記録を更新する。(福岡県糸島市/加藤裕一)