◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 事前(14日)◇クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)◇7626yd(パー71)ロリー・マキロイ(北アイルランド)にとって、クエイルホロークラブは始まりの場所のひとつだ。欧州ツアーを飛び出し、P…

◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 事前(14日)◇クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)◇7626yd(パー71)
ロリー・マキロイ(北アイルランド)にとって、クエイルホロークラブは始まりの場所のひとつだ。欧州ツアーを飛び出し、PGAツアーに本格参戦した2010年の5月。21歳の誕生日の2日前に当地での「クエイルホロー選手権」(現トゥルーイスト選手権)で初優勝した。
ルーキーイヤーの春先は腰を痛めていたという。母国で調整してから米国に戻り、2日目の後半7番(パー5)でイーグルを決めカットライン上で予選を通過。「66」をマークして7位に浮上した土曜日の夜に、テレビでボクシングのビッグマッチを観戦したことも覚えている。
最終日に「62」をたたき出し、2位のフィル・ミケルソンに4打差をつける逆転V。その後、同大会では2015年、21年、24年にも勝った。「ここで良い成績が出ているのは、最初のポジティブな勢い、思い出があるからだ。この場所に来るたびに良い気分になる」。キャリアで最多の4勝を挙げたコースは欧州ツアー「ドバイデザートクラシック」開催地のエミレーツGC(アラブ首長国連邦)と、ここだけだ。
クエイルホローでは17年の「全米プロ」も含めて過去13回プレーして、驚異の通算102アンダーを記録している。ストロークゲインドでティ・トゥ・グリーン(+123.6/グリーンに到達するまでのショット貢献度)、オフ・ザ・ティ(+73.0/第1打の貢献度)、アプローチ(+41.6/グリーンを狙うショットの貢献度)と、あらゆるショット部門でトップ。データで言えば、敵はいない。

4月の「マスターズ」で史上6人目のメジャー4大会制覇を達成した。あらゆる根拠をもとにした周囲の期待に反して、マキロイはいま、そういった数値や具体的なターゲットとは距離を置く。「僕はキャリアグランドスラムというもので、自分に負担をかけてしまっていた。数字や統計の重荷を自分に背負わせたくないんだ。この先は達成できたことをエンジョイしたい」。長年の極度のプレッシャーから解放され、ゴルフを心から楽しめる状態にある。
慣れ親しんだ場所で、開幕前日までコースチェックに勤しんだ。「メジャーだから違う感じがするかなと思っていたんだけど、去年のウェルズファーゴ選手権とほぼ変わらないね。ラフが少し粘っこいけれど、フェアウェイの切り方、見た目も同じだ」。優勝候補のひとりとして疑う人は、やはりいない。(ノースカロライナ州シャーロット/桂川洋一)