メジャーリーグでは試行錯誤を繰り返してきた佐々木。その中で負傷者リストに入り、リセットを余儀なくされた。(C)Getty Images 今季からドジャースでのメジャーキャリアをスタートさせた佐々木朗希が“壁”にぶつかった。現地時間5月13日…

メジャーリーグでは試行錯誤を繰り返してきた佐々木。その中で負傷者リストに入り、リセットを余儀なくされた。(C)Getty Images

 今季からドジャースでのメジャーキャリアをスタートさせた佐々木朗希が“壁”にぶつかった。現地時間5月13日には球団が、右肩の「インピンジメント症候群」との診断を公表。あわせて15日間の負傷者リスト(IL)入りも発表した。

【動画】佐々木朗希の真っすぐを逆方向へ…ダイヤモンドバックス戦での被弾シーン

 肩のこすれや挟まりこみなどが原因になると考えられる「インピンジメント症候群」。佐々木の場合、環境が変わった中で、これまで以上に肩や肘への負担が大きくなったというのは想像に難くない。

 実際、影響はプレー面に如実に出ていた。NPB時代に最速165キロをマークしていた4シームの平均球速は、今季は96.1マイル(約154.6キロ)にまで低下。依然として昨季に記録されたメジャー平均(94マイル=約151.2キロ)こそ上回っているものの、100マイル(約160.9キロ)を超える剛速球を連発する場面は見られず、被打率(.258)も上昇。4シームは佐々木の生命線となるボールだけに、小さくない不安材料となっていた。

 マーク・プライアー投手コーチが「空振りを多く奪えるような軌道ではない」と断言した佐々木の4シーム。敵打者にことごとく捉えられてしまう球質の低下は、本人が「シンプルに技術不足」と語ったメカニック面はもちろん、蓄積疲労が生んだであろう今回の故障が小さくない理由となったのは間違いない。

 21年のプロ入り以降で規定投球回に達した経験はない。そんなロッテ時代にも佐々木はたびたび故障で戦線を離れるもどかしい日々を送ってきた。ゆえに今回の離脱も「仕方ない」と見る向きは、海外でも広まっている。

 韓国の日刊紙『朝鮮日報』のナ・ユリ記者は「球速低下のミステリーを抱えた佐々木はIL入りした」と伝えた記事内で、佐々木の抱える状況について「早くも不快感が生じている」とした。

 同記者は、佐々木が自己ワーストとなる5失点で降板した9日のダイヤモンドバックス戦後に右腕の痛みを訴えたことを記した上で、「あの試合では、もはや正常な球威はなかった」と断言。そして、ロッテ時代から続く故障癖に疑問を呈している。

「佐々木は日本でも一度として規定投球回を満たしたシーズンはなかった。彼が最も多くのイニングを投げたのは、2022シーズンの129と1/3イニング。プロ入り以来初の10勝は収めた昨季も111イニングの消化にとどまった。佐々木はリーグ最高の速球を保有したが、耐久性が落ちるという評判が確かにあった。

 メジャーリーグ挑戦を宣言した時も、世間が最も懸念していた部分はまさにこの部分だった。これまでも体力的な問題をずっと露呈してきた佐々木が、果たして、中5日の登板が基本となるメジャーリーグのやり方に耐えられるかどうかという疑問だった」

 さらに日本国内で「驚くことはない」「日本でもこの繰り返しだった」という佐々木に対する反応が目立ったことを強調したナ・ユリ記者は「ドジャースは最大限に配慮をしていた」と指摘。ドジャースがタイラー・グラスノーやブレイク・スネルが故障離脱する前まで、中6日のローテションを構築した事実を論じた上で「アリゾナでの登板は佐々木にとって初めての中5日での登板だった。しかし、彼はすぐに故障してしまった」と伝えている。

 期待の大物ルーキーに生じた緊急事態。ここからどうリセットをし、己を磨くのか。特大のポテンシャルを秘める佐々木の再起に注目が集まるのは間違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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