西郷真央が優勝した「シェブロン選手権」は、優勝者が18番グリーン脇の池に飛び込むのが習わしで、西郷も豪快に飛び込んだ。ところが、このダイブが問題になっている。同大会は長らくカリフォルニア州ランチョミラージュのミッションヒルズCCで開催され…

カールトンウッズ3人目の“ダイバー”となった西郷真央

西郷真央が優勝した「シェブロン選手権」は、優勝者が18番グリーン脇の池に飛び込むのが習わしで、西郷も豪快に飛び込んだ。ところが、このダイブが問題になっている。

2022年のカップチョ。ミッションヒルズは暖かく水もきれかった

同大会は長らくカリフォルニア州ランチョミラージュのミッションヒルズCCで開催され、2023年からテキサス州ヒューストンのクラブ・アット・カールトンウッズに舞台を移した。最初のダイブは1988年、エイミー・オルコットが優勝の喜びのまま勢いにのって18番グリーン横の池にキャディと飛び込んだ。

2023年初開催のカールトンウッズで飛び込むリリア・ヴ。濁った水、気温15度前後…

灼熱の砂漠地帯にあるミッションヒルズCCの池なら問題はなかった。しかし、カールトンウッズは違う。同様に18番グリーン横に池があったことで、最初の開催の2023年に優勝したリリア・ヴも飛び込んだものの、急に冷え込んだ最終日の気温は15℃前後…。凍えそうな “慣例”になった。昨年もなぜか最終日に気温が低下し、優勝したネリー・コルダは震えながら池から上がってきた。

南部とはいえ、4月のヒューストンは泳ぐのに厳しいほど気温が下がることは珍しくない。西郷が飛び込んだ今年は暖かかったから良かったものの、来年以降はまた寒さに見舞われるかもしれない。

ネリー・コルダが飛び込んだ2024年も寒かった

池の“質”も問題だ。コルダが今年の記者会見で「池の底がヌルヌルしていた」と1年前を振り返り、選手の中には「亀やヘビがいた」と言う者も多い。要は不快に感じている選手がかなりいる。

池を整備すれば? そんな意見は当然出てくるが、そこには予算の問題がある。カールトンウッズクラブのとあるメンバーの話では「18番の池をダイブ用に整備しようとすると約3000万円の予算が必要になる」そうで、この費用を負担しなければならない立場からは大不評らしい。一方、大会スポンサーのシェブロンは“伝統”だけに続けてほしいらしいが、大会の運営母体のLPGAは「あくまで選手が独自に始めた習慣」として「特に介入しない」という立場をとっているそうだ。

西郷真央に続き来年は誰が?

「シェブロン選手権」は1972年に「コルゲート・ダイナショア・ウィナーズサークル」としてスタートし、1983年にメジャー昇格。「ナビスコ・ダイナショア」、「ナビスコ選手権」、「クラフト・ナビスコ選手権」、「ANAインスピレーション」と大会名を変えながらミッションヒルズCCという同一コースで開催され、シーズン最初のメジャーでもあり、男子の「マスターズ」同様の位置付けがなされてきた。池ダイブは長年の歴史の中で生まれた風物詩だが、コース変更という大きな変化に影響を受けている。カールトンウッズで伝統はどうなっていくのか? 答えが出るにはしばらく時間がかかるかもしれない。(JJ田辺カメラマン)

伝統発祥の地はミッションヒルズCC ミッションヒルズ開催最後の覇者ジェニファー・カップチョ カールトンウッズのダイブ1号は2023年のリリア・ヴ 2024年覇者ネリー・コルダ曰く「底はヌルヌル」