米国シニアツアー「チャンピンズツアー」のシード選手、藤田寛之。最新のクラブセッティングを、拠点とするダラス(テキサス州)での練習中に取材させてもらった。早速その中身を紹介しよう。まずはドライバーから。昨シーズンはヤマハの「RMX VDプロ…

米シニアに参戦する藤田寛之

米国シニアツアー「チャンピンズツアー」のシード選手、藤田寛之。最新のクラブセッティングを、拠点とするダラス(テキサス州)での練習中に取材させてもらった。早速その中身を紹介しよう。

RMX116を作り直した

まずはドライバーから。昨シーズンはヤマハの「RMX VDプロトタイプ」を使っていたが、ことしは今平周吾も使う2015年モデルの「RMX 116」に戻した。「自分は昭和のプロなので、曲げながらゲームを組み立てていくタイプなんですよ」と前置きし、「今どきのドライバーは曲がらなすぎるのが多くて、本来はもうちょっと曲がってほしい。その点『116』はヤマハのここ数年の中で、いい意味で一番つかまらないヘッド。自分たちプロは過度につかまるのが嫌なので、それを完全に消すために替えました」

厳密に言うと、以前使っていたヘッドではなく、ヤマハにある数少ない「116」の在庫の中から最もつかまらないヘッドを探してもらったとか。その完全につかまらない状態から、ほんのちょっとつかまる味付けにして、「ドローに入れたりフェードに入れたりをできるようにしています」とこだわりは深い。

5番はRMX

バッグの中にはスプーンが入っていない。一昨年、アイアンをロフトの立ったモデルに替えたことで14本に変化が起きた。PWとAWの間が空いたため、50度のウェッジを投入。その代わりに3番ウッドがバッグから消えた。5番、7番ウッドを入れ、その下は試合に応じて9番ウッド、5UT、4番アイアンの3択から決めている(取材時は5UT)。

歴代タイトのUTがお気に入り GT3と使い分け

「コースやその週のコンディションを見てどれを入れるか決めます。4番アイアンは、全英シニアみたいな風が強い所など限定。次に登場頻度が高いのは5UT。グリーン奥にハザードがあるとか、グリーンのアンジュレーションが強くて転がしがきかないとか、そんなコースで登場する。UTは芯を外した時の距離のロスが少ない上に、グリーンの止まり具合がアイアンの比じゃなくて、場合によってはアイアンの転がりの1/3ぐらいで止まってくれます。そして、一番バッグに入れることが多いのが9番ウッド。アメリカに来るにあたり、『UTよりももっと止まるクラブがほしい』とヤマハのレップの方に相談し、作ってもらいました」

レディースのヘッドという7番ウッド

その9番ウッドは「INPRES DRIVESTAR」(7Wも同じ)で、レディースのヘッドだという。「ロフトが合うということでレップの方の提案で試したんですが、打ってびっくり。飛距離性能もある上に、5番アイアンぐらいのスピンが入って止まってくれる。自分にとって2打目で残りやすい200yd強の距離が止まってくれるなら、レディースだろうがなんだろうが使わない手はないですよね(笑)」

昔よりロフトを2度立てているというRMX VD/M

続けてアイアン。ヤマハの次期モデルと目されるRMXの未発表アイアンを試合で使ったが、再び「RMX VD/M」に戻した。「01というモデルを2試合使いました。(前作と)見た目はほとんど一緒。長いクラブでボールが上がるようになりました。全体的に弾きが抑えられ、軟鉄鍛造のマイルドな打感を心地よく感じます。ただ、試合でちょっと飛びすぎちゃうことがあって(距離にして2、3ヤード)、トラックマンで測ったらスピンが少しだけ少なかったんです。これは時期によっても変わると思うので、定期的にトラックマンで測りながらまた再投入のタイミングを計っています」

ウェッジはSM10

ウェッジ3本はボーケイ「SM10」。お気に入りのMグラインドに加えて、アメリカ用にバウンスの少ないAグラインドも用意している。「こっちにくるとペタペタなライに加えて地面が硬い時があって、『M』だと弾かれてしまう。そんな時は『A』が活躍してくれます。練習ラウンドには必ず2本を持っていき、どちらで行くかを判断しています。今さら打ち方を変えるのは時間かかるので、バウンスを変えて対応します」。いかにもウェッジ巧者らしい考え方。

新しいプロV1

パターはアメリカに3本持ってきた。フェースにバーチカルスタンプ(縦の刻印)が入るエースの「ニューポート2 GSS プロトタイプ」と、スーパーサブ、そしてストレートネック(センターシャフト)の3本だ。「エースに何かあったとき用のスーパーサブは、クランクネックやGSS素材などは同じですがヘッドの形が微妙に違います。ストレートネックはインパクトがそのまま正直に出るヘッド。ストロークに迷いがあるときに、プッシュや引っかけが出ますが、それが顕著に出るパターです。ミスの傾向が分かるので、一度原点に戻れます」と3本の違いを解説。

「自分の症状に合わせてアメリカに持ってきたいパターはいっぱいあったのですが、何本も持ってくると持って帰るのが大変なんで」と言いつつも、ポアナ芝(ザ・ギャラリクラシックのミッションヒルズCC)に苦しんで、今はマレットタイプのキャメロンを発注しているとか。「気分転換というか、ポアナには全く違うタイプのヘッドが必要って思いました。(クセの強い)高麗芝の芥屋で別のパターをトライするような感覚」と笑って話す。

オープンウィークを挟み、今週の「リージョンズ・トラディション」からメジャーを含めた4連戦。シニア界最高峰の舞台で、存分に暴れてほしい。(テキサス州ダラス/服部謙二郎)

<藤田寛之の14本>

最新の14本

ドライバー:ヤマハ RMX 116 (10.5度)
シャフト:三菱ケミカル ディアマナ BB(重さ53g台、硬さS)

フェアウェイウッド:ヤマハ RMX(5番 16.5度)、ヤマハ INPRES DRIVESTAR レディース(7番20度)
シャフト:5W/三菱ケミカル ディアマナ WB(重さ63g台、硬さS)、7W/三菱ケミカル ディアマナ WB(重さ83g台、硬さS)

ユーティリティ:タイトリスト GT2(5番23度)
シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールドAMT TOURホワイト S200

アイアン:RMX VD/M(5番~PW)
シャフト:グラファイトデザイン RAUNE PRO (5番)、トゥルーテンパー ダイナミックゴールドAMT TOURホワイト S200(6番~PW)

ウェッジ:ボーケイ SM10 (50、54、58度)
シャフト:トゥルーテンパー ダイナミックゴールド ウェイトロック S200

パター:スコッティキャメロン ニューポート2 GSS プロトタイプ

ボール:タイトリスト プロV1(2025)