マルティネスに12回判定負けを喫し、妻恵美さん(後方)からねぎらいの言葉をかけられる井岡(撮影・垰建太)<プロボクシング:WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇11日◇東京・大田区総合体育館元世界4階級制覇王者でWBA世界スー…
<プロボクシング:WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇11日◇東京・大田区総合体育館
元世界4階級制覇王者でWBA世界スーパーフライ級6位の井岡一翔(36=志成)が世界戦で初めて連敗を喫した。昨年7月の初対決で判定負けしていた同級王者フェルナンド・マルティネス(33=アルゼンチン)との再戦に挑み、12回を戦い114-113、115-112、117-110の0-3判定で敗れた。過去の世界戦の再戦で3戦3勝という井岡リマッチ全勝データが崩れた。約10カ月ぶりの世界王座返り咲きを逃し、リベンジに失敗した。
マルティネスとの再戦は昨年大みそかに1度は決まっていた。しかし来日した王者のインフルエンザ感染を理由に試合前日で中止に憂き目をみた。井岡は「あの日、とても残念な、複雑な気持ちはありましたが、自分の中の気持ちとしては歩みを止めるつもりはなかった。ポジティブに考えた」と振り返る。
今年3月、仕切り直しの再戦が発表される間、マルティネスが同階級のスター選手でWBC世界同級王者ジェシー・ロドリゲス(米国)との統一戦交渉が行われているとの海外報道もあった。試合が決定する前では葛藤もあったという。それでも取り組むべき練習に変わりはない。マルティネス対策を練り続けて正式決定を待った。
「(マルティネスは)必ず超えたい壁。世界王座に返り咲いて、立ち上がる姿をみせたい」。初対決では髪の毛が大きくなびいたことがパンチを打たれた印象を持たれたと考え、今回は短髪に変更した。23年6月のジョシュア・フランコ(米国)戦以来、約1年11カ月ぶりのチャレンジャーの立場。この10カ月間かけて蓄積してきたリベンジ魂を胸にマルティネスとリングに対峙(たいじ)していた。
36歳1カ月での世界挑戦だった。元世界3階級制覇王者長谷川穂積の保持する国内最年長の世界王座奪取記録(35歳9カ月)を更新できなかった。井岡は「21歳で初めて世界王者になり、記録更新できたら大きな意味をなすと思う。必ず勝ち、1年でも、1試合でも長く現役を続けられるように」と記録も意識していたリングだったが、再び世界ベルトを手にすることはできなかった。
現役引退もよぎる年齢となる。スーパーフライ級にとどまり、再び世界王座を狙うのか。それとも日本男子初の世界5階級制覇を目指し、日本人王者が世界王座を独占しているバンタム級に転向するのか。36歳となった井岡の動向にも注目が集まりそうだ。
▽王座を守ったマルティネスの話「井岡選手は前回に比べて、大変練習を積んできた。その成果がみてとれた。すごく練習してきたと思った。私に大変プレッシャーを与えた。私も練習してきた。本当に強い2人がこのリングの中ですべてを出した」
◆ラウンドVTR(採点はニッカン独自)
1回 マルティネスが積極的に前進する。強烈な左ジャブ連打。井岡は冷静に相手のパンチをみきわめてかわす。中盤にマルティネスが連打。井岡はロープを背負うも終盤は立て直す。マルティネス10-9
2回 マルティネスは左右のフックを決める。井岡は左ジャブをつきながら、左フックをクリーンヒットさせた。中盤マルティネスは右フックから連打。終盤もマルティネスが左ボディー、右フック繰り出す。井岡は交わしながらボディーを狙った。マルティネス10-9
3回 井岡が左ボディーを決める。ワンツーからボディー。右のショートも決めた。マルティネスは右フックを的確に決める。終盤は井岡が右ボディーをヒット。マルティネスは右フックを決めた。井岡10-9
4回 マルティネスは前半から左右のフックなど連打を繰り出す。井岡は左ジャブから反撃を狙う。終盤はボディー攻撃でマルティネスの動きが一瞬止まる場面も。井岡10-9
5回 開始からマルティネスが連打で井岡はロープ背負う。井岡も左フックで反撃。終盤、マルティネス連打も井岡は冷静にかわし、左ジャブからボディー攻撃を狙った。マルティネス10-9
6回 マルティネスが歩きながら連打。井岡は単発で返す。中盤からマルティネスは左フック、右の打ち下ろしを決める。終盤マルティネスの連打に井岡も対抗。激しい打ち合いに。終盤マルティネスは左フックを決めた。マルティネス10-9
7回 マルティネスは開始から連打。井岡は右ストレートで対抗。中盤、マルティネスが左右のフックを決める。終盤も手数はやまない。井岡は左ボディーで対抗した。マルティネス10-9
8回 マルティネスが左右のフックから上下に連打。井岡は左ボディー決めるも単発。終盤、マルティネスは連打。井岡も負けじと手を出す。マルティネスは残り10秒でも連打。マルティネス10-9
9回 マルティネスは左右の連打。井岡は左ボディー強烈。中盤は打ち合いに。マルティネスの右アッパー、右フックが決まる。中盤から井岡のボディーがきいたマルティネスの動きが明らかに落ちた。井岡10-9
10回 マルティネスが前に出て連打。井岡は左ボディーで対抗。中盤には左フックでダウンを奪う。井岡はラッシュ。マルティネスも対抗するが、井岡も止まらない。終盤は打ち合いに。お互いフラフラになりながらも打ち合う。井岡10-8
11回 井岡の左ボディーで、マルティネスの動きが止まりかける。井岡はカウンターの右ストレートを決める。終盤、井岡は連打を決める。マルティネスは前に出るも井岡はかわした。井岡10―9
12回 マルティネスは開始から前に出て連打。井岡も左ジャブをつきながら右ストレート、左右のボディー繰り出す。中盤も激しい打ち合い。終盤も互いにフラフラになりながら打ち合う。最後はノーガードの打ち合い。決着は判定に。井岡10―9