◇国内女子メジャー◇ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ 最終日(11日)◇茨城ゴルフ倶楽部 東コース◇6675yd(パー72)◇晴れ(観衆9752人)プレーオフに敗れ、グリーンサイドで見守っていた青木瀬令奈とハグを交わすと…

藤田さいきはプレーオフ惜敗後に青木瀬令奈とハグをして涙を流した

◇国内女子メジャー◇ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ 最終日(11日)◇茨城ゴルフ倶楽部 東コース◇6675yd(パー72)◇晴れ(観衆9752人)

プレーオフに敗れ、グリーンサイドで見守っていた青木瀬令奈とハグを交わすと、藤田さいきの目から涙があふれた。「若干記憶がないので何とも言えないんですけど、『終わった…』っていう安心感ですかね。みんなが待っていてくれて、無事に帰ってこられたっていう…」。体調不良を抱え、記憶があいまいになるほどギリギリの状態。優勝争いの計19ホールを戦い抜けたことが奇跡的だった。

15年ぶりのメジャー2勝目には届かず。激闘は見る者の胸を打った

3日目のプレー後も体調は上向かず、まだ熱も引いていない状態でのスタート。単独首位から出るも、2番(パー3)でボギーが先行した。バンカーを渡り歩いた3番は4オン2パットのダブルボギー。早々にトップの座を明け渡したが、5番でベタピンのバーディ。後半13番(パー3)でも2個目を奪い、メジャー仕様のハードセッティングに「75」とスコアを落としながら必死の粘りでプレーオフに持ち込んだ。

記憶もあいまいになるギリギリの状態で19ホールを戦い抜いた

プレーオフの18番(パー5)はフェアウェイからレイアップしたセカンドを左ラフに入れるミス。グリーン奥にこぼした後、チップインを狙った一打もカップに届かなかった。「何なら、気力でしかやってなかった。(首位にいる)私が辞めるわけにもいかないですし、ジエちゃんといい勝負ができて自分でも頑張ったなと思う。本当に素晴らしい優勝だったと思います」と3学年下のチャンピオンをたたえた。

ホールアウト後は自力で歩くこともままならず、病院へ救急搬送された。「気管をやられてしまった」と話し、軽度の熱中症とも診断された。インフルエンザなど各種検査は陰性だったという。

搬送された病院からコースに戻って取材対応中も涙があふれた

病院から身体を引きずってコースに戻り、取材に応じた39歳。本人は「もっとちゃんと、ジエちゃんをたたえて、『おめでとう』と言いたかった。ご迷惑をおかけして、同伴競技者の方にも申し訳ない気持ちでいっぱいです」と声を震わせて頭を下げたが、胸を打つ激闘だった。(茨城県つくばみらい市/亀山泰宏)