広島・中村貴浩外野手(25)が1軍昇格に向けてアピールを続けている。ウエスタン・リーグで打率・328、2本塁打、18打点。打点はチームトップ、安打数(21)もチーム2位タイとコンスタントに結果を残している(29日現在)。好調の要因は気持ち…
広島・中村貴浩外野手(25)が1軍昇格に向けてアピールを続けている。ウエスタン・リーグで打率・328、2本塁打、18打点。打点はチームトップ、安打数(21)もチーム2位タイとコンスタントに結果を残している(29日現在)。好調の要因は気持ちの持ち方にあると分析。注力している取り組みにも迫った。
常に明るい表情が印象的だ。打率3割台をキープしている中村貴は、メンタル面の割り切りが好調の要因だと捉えている。「打てる日もあるんですけど、『今日は打ったらラッキー』ぐらいの感覚。打てなくても『こういう日もある、次、打てばいいか』ぐらいのマインドで臨んでいます」と明かした。
この考え方は昨季まで持ち合わせていなかった。一喜一憂せず、目の前の1打席に集中。そして「野球を楽しんでいる感じ」と適度に肩の力を抜いて試合に臨んでいる。
春季キャンプは1軍スタートだったが、2月16日の阪神との練習試合で守備の際に負傷交代。右膝内側靱帯損傷と診断された。3月7日に打撃練習を再開し、今月1日のウエスタン・阪神戦で実戦復帰。六回2死満塁に代打で登場し、右翼ポール際に本塁打を放った。翌2日にも一発を記録。自慢の打撃で存在感を示した。
力を注ぐのは、狙い球を確実に捉えること。「『コレを捉えよう』という練習を自分でもやっているし、それが結果につながっていると思います。『この1球を仕留めないと』という場面が1軍では多いし、その1球を仕留めないとチャンスはないので」と1軍舞台を見据えている。
22日のウエスタン・くふうハヤテ戦は2打席連続適時打。2安打4打点でアピールした。キャンプ中は打席でバットのヘッドを投手側に傾けていたが、「(投球に)遅れてしまう」と変更。顔の横に構えてスムーズなスイングを心がけている。
1月は同僚の羽月とともに、元ソフトバンクでBC栃木の川崎宗則氏(43)と合同自主トレを行った。中村貴が25歳の誕生日を迎えた今月9日は、川崎氏から電話で激励された。「野球は失敗するスポーツだからと話してもらって、自分でアクションを起こしにいけと言ってもらいました」と積極的なプレーの重要性を再確認した。
目標は1軍昇格。しかしながら、それだけにはフォーカスしない。「(1軍に)上がる、上がらないはコーチや監督が決めること。今は野球を楽しんで、自分のやれることをやるだけです」と落ち着いた口調で意気込んだ中村貴。育成入団からはい上がり、勝負の3年目。来たるべき日に備え、牙を研ぎ続ける。
◇中村貴浩(なかむら・たかひろ) 2000年4月9日生まれ。福岡県筑後市出身の25歳。177センチ、87キロ。右投げ左打ち。外野手。小学1年で野球を始め、九州国際大付では1年夏からベンチ入り。九産大に進学し、3年秋のリーグ戦では本塁打王と打点王を獲得した。22年度育成ドラフト2位で広島に入団。。1年目の23年5月に支配下契約を結んだ。