「中日4-1阪神」(29日、バンテリンドーム) 名古屋へと場所を移しても、その勢いに陰りは見えない。阪神・佐藤輝がまた豪快なアーチを描いた。すさまじい快音から放たれた打球は、きれいな放物線で右翼席に着弾。「良かったんじゃないですかね」。月…
「中日4-1阪神」(29日、バンテリンドーム)
名古屋へと場所を移しても、その勢いに陰りは見えない。阪神・佐藤輝がまた豪快なアーチを描いた。すさまじい快音から放たれた打球は、きれいな放物線で右翼席に着弾。「良かったんじゃないですかね」。月間8本塁打は自己最多を更新。敗れはしたが、この一発への歓声はすごかった。
1点ビハインドの四回1死。涌井の145キロの高め直球を振り抜いた。「いいバッティングができたと思います」。打った瞬間、確信の一撃。昨季は0本塁打だったバンテリンドームで、初戦から“今年は違う”と見せつけた。
これまでは22年4月と23年9月に記録した、月間7本塁打が自己最多だった。2試合を残しての記録更新に向けては「まあまあ、1試合1試合必死に頑張るだけです」と冷静だったが、しっかりと実現。「それはうれしいこと」と少し柔らかい表情を見せた後、「まだ全然、明日もあるんでね。頑張ります」とさらなる上積みに意欲を示した。
3月28日の開幕弾と合わせて、キング独走の9本塁打。年間51本を超える驚異的なペースで量産している。打点も巨人の岡本に並び、再び2冠。本人は「全然気にしてないです」と言うが、止まる雰囲気を感じさせない。
その要因は何か。少し考えた末に、自身で分析した。「ずっとやってきたことが少し形になりつつあるのかなと思います」。これでも、まだ“少し”。オフからフォーム改造にクリケットバットを導入するなど、試行錯誤を繰り返してきた。佐藤輝が求める完成形へと到達した時には、今以上の結果が生まれるだろう。
ただ、チームは1得点で負けた。試合後の表情も曇り気味だった。「もう一本ね、ランナーがいる時に出なかったんでね。出せるように頑張ります」。打っても、勝てなければ意味がない。次こそ、勝利へ導くアーチをかける。