◆大相撲 ▽春場所5日目(13日、エディオンアリーナ大阪) 西前頭2枚目・千代翔馬が横綱・豊昇龍を寄り切って初金星を挙げ、3勝2敗とした。33歳7か月21日での初金星は、年6場所制となった1958年以降、初土俵では14年名古屋場所の35歳・…
◆大相撲 ▽春場所5日目(13日、エディオンアリーナ大阪)
西前頭2枚目・千代翔馬が横綱・豊昇龍を寄り切って初金星を挙げ、3勝2敗とした。33歳7か月21日での初金星は、年6場所制となった1958年以降、初土俵では14年名古屋場所の35歳・豪風に次ぐ歴代2位の年長記録となった。豊昇龍は初金星を配給した。平幕の遠藤、阿武剋はともに初黒星。5日目までに全勝が消えたのは23年秋場所以来。1敗は大関・大の里ら7人となった。
千代翔馬は迷わず変化を選んだ。豊昇龍の張り手をかわし、右に動いて右上手を取った。左四つから土俵際で耐える相手を攻め続け、寄り切った。「立ち合いは朝の稽古場で決めた。相手は自分より強い。何年も『変化した』と言われても、それでも勝ちたかった」。年長2位の初金星。結びの一番を制したのも初めてだ。座布団が舞う中で「うれしい。続けてきて良かった」と喜びをかみしめた。
16年秋場所で新入幕を果たしたが、腰を計4度手術するなど苦しんだ。「負けたらけがのせいにして、逃げる気持ちばかりだった」。引退も考えたが、年齢や経験を重ねた今は「みんなけがしてるんだから」と受け入れられるようになった。モンゴルで7歳の頃から知るという豊昇龍との取組も「自分が幕内にいる時に、向こうは入門もしてないんだから」と考えると、気負いが消えた。
知人が馬主で、自身のしこ名を取って「ディーエスショウマ」と命名された競走馬が昨年11月の2歳未勝利戦で初勝利を挙げたことも刺激になっている。「馬に負けたくないね」。5日目にして全勝不在。33歳の平幕が“荒れ馬場”を駆け抜ける。(林 直史)
◆千代翔馬 富士雄(ちよしょうま・ふじお)本名・石橋翔馬。1991年7月20日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。33歳。08年3月に来日。09年4月に明徳義塾高を中退し、元横綱・朝青龍の紹介で九重部屋に入門。翔馬で初土俵を踏み、10年名古屋場所の三段目昇進を機に先代親方が現しこ名に改名した。24年5月に日本国籍を取得。得意は押し、左四つ、寄り。184センチ、138キロ。