「練習試合、阪神0-11広島」(16日、バイトするならエントリー宜野座スタジアム) 埋め尽くされた日曜日のスタンドから、テーマ曲に合わせて声援が注がれた。具志川組から合流した原口や、試合終盤に出場した木浪、中野に指笛が響き、拍手と歓声が大…

 「練習試合、阪神0-11広島」(16日、バイトするならエントリー宜野座スタジアム)

 埋め尽くされた日曜日のスタンドから、テーマ曲に合わせて声援が注がれた。具志川組から合流した原口や、試合終盤に出場した木浪、中野に指笛が響き、拍手と歓声が大きくなる。長く結果を残してきたベテランと、まだ無名の若虎を色濃く分けるコントラスト。開幕前哨戦の大敗にも阪神・藤川監督は収穫を語る。

 「1、2番に入った井坪や山田はテーマ曲がない。ただ見えている景色だけではなく、認められたんだ、とかそういうのが出てきますからね」

 グラウンドの結果も現状の差をハッキリと映した。広島の先発・森から遠藤、鈴木と続く1軍経験豊富な投手を相手に、若手主体の攻撃陣は無得点で敗戦。その中で原口が2打数2安打と気を吐き、中野は代打で一塁線を破る二塁打を放った。経験に裏打ちされた技術と自信。プロとして生き抜いてきた理由がある。

 一方で三回には無死二塁の好機で井坪が三ゴロ、山田が空振り三振と走者を進めることができない。守備でも五回1死一、三塁で中村健の打席。右中間の打球で井坪→山田の中継が乱れ、一気に一走・末包のホーム生還を許した。「課題は出た方が良い。全て含めて彼らの課題で、それに取り組みながらね」と指揮官。成功に近道はないと感じられる日々が収穫だ。

 「カープの新戦力に関してはこの後、みんなでビデオを見たりですかね」。キャンプ中の実戦に開幕前哨戦の意識は薄い。近未来の常勝チームを築くため、育成にも主眼を置く春でもある。「ファンの方に物足りない、いや心強い…そう感じてもらいながら、一緒にタイガースを作り上げる」。ベテランの背中に学び、ファンの声援に現在地を知る。指揮官にとっても実り多き一日となった。