◇米国男子◇WMフェニックスオープン 最終日(9日)◇TPCスコッツデール スタジアムコース(アリゾナ州)◇7261yd(パー71)シーズン開幕戦「ザ・セントリー」最終日、トーマス・デトリー(ベルギー)はコリン・モリカワ、そして優勝した松…

◇米国男子◇WMフェニックスオープン 最終日(9日)◇TPCスコッツデール スタジアムコース(アリゾナ州)◇7261yd(パー71)
シーズン開幕戦「ザ・セントリー」最終日、トーマス・デトリー(ベルギー)はコリン・モリカワ、そして優勝した松山英樹と最終組を回った。5打差の3位から序盤2番(パー3)でいきなりダブルボギー。早々にタイトル争いのチャンスを失った“脆さ”は、1カ月後にすっかり消え失せていた。
5打差をつけて単独首位でスタートし、後半は同伴競技者の追い上げを跳ね返した。15番(パー5)、ダニエル・バーガーが4mのバーディパットを沈めた直後、2mを入れ返して4打差をキープ。観覧席に取り囲まれた名物パー3の16番では、重圧をものともせずピンそば1mにつけるティショットで大歓声を響かせた。圧巻の4連続バーディ締めで「65」をマーク。後続に7打差をつける通算24アンダーで手にした悲願の初優勝を「信じられない」と喜んだ。
ベルギー・ブリュッセル南部の街であるイクル出身。学生時代に「ジュニアライダーカップ」代表に選ばれるなど頭角を現した。高校卒業後に2学年の上のトーマス・ピータースの後を追うように米イリノイ大に進学。プロ転向から10年の道のりは期待とは違った。
これまで手にしたタイトルは、最初の主戦場だった欧州下部ツアーで挙げた1勝だけ。2016年「ブリヂストンチャレンジ」で後続に12打差をつける勝利で飛躍を予感させながら、レギュラーツアー(DPワールドツアー)昇格後、勝利に恵まれなかった。
2022年秋から当時の下部ツアーとの“入れ替え戦”を通じてPGAツアーに本格参戦。「ここ4、5年の目標はとにかく勝つことだった。毎年『ことしこそは』と思っていた」。重圧を感じると、「ドキドキして先走ってしまい、目の前のことに集中できなくなる」という悪癖がある。この日は早朝4時に目覚めてから二度寝ができないまま、10分間の瞑想を行い、アイスバスにも浸かってティオフに備えた。
ベルギー出身選手として初めてPGAツアーで優勝。同国の公用語であるフランス語、オランダ語の他にスペイン人の祖母の影響でスペイン語、そして英語を話す。「僕のことをドイツ人だとか、デンマーク人だというのを試合会場で聞いたことがある。(ベルギーと)ドイツとは国旗の色が同じ(黒・黄/金・赤)だから、たくさんの人が僕をドイツ人だと思っているみたい。早く名前が広まると良いと思う」。認知度アップの願いも、かなうはずだ。(アリゾナ州スコッツデール/桂川洋一)