米国野球殿堂は21日(日本時間22日)、25年の殿堂入り選手を発表し、マリナーズなどで大リーグ最多年間262安打や通算3089安打などの記録を残したイチロー氏(51)=本名・鈴木一朗=が選出された。アジア人初の偉業。史上2人目となる満票選…
米国野球殿堂は21日(日本時間22日)、25年の殿堂入り選手を発表し、マリナーズなどで大リーグ最多年間262安打や通算3089安打などの記録を残したイチロー氏(51)=本名・鈴木一朗=が選出された。アジア人初の偉業。史上2人目となる満票選出にわずか1票足りなかった。通算251勝の左腕、C・C・サバシア氏(44)、通算422セーブを挙げたビリー・ワグナー氏(53)も選出された。
ポジティブ思考。逆境は成長の糧と信じるイチロー氏らしい言葉だった。
「1票足りないというのはすごく良かったと思います」
物議を醸した得票率99・75%。史上最多652セーブのマリアーノ・リベラ氏に続く史上2人目、野手では初となる満票選出を逃した結果を前向きに受け止めた。
「いろんなことが足りない、人って。自分なりの完璧を追い求めて進んでいくのが人生だと思うんです。やっぱり、不完全であるというのはいいなあって。生きていく上で不完全だから進もうとできる」
殿堂入り発表後にマ軍の本拠地T-モバイルパークで行われた記者会見。白いTシャツにダーク系ジャケットを羽織るカジュアルなファッションで登場し、メジャー1年目の「覚悟」を語った。
00年オフにオリックスからポスティングシステムを使ってメジャーの世界へ。日本選手初の野手としての挑戦だった。「僕が基準になるという認識はありました。日本人の野手の評価は僕の1年目で決まるという思いを背負ってプレーした記憶がある」。背番号はオリックス時代と同じ「51」。メジャー最強左腕、ランディ・ジョンソン(15年殿堂入り)が98年途中までつけた番号を受け継いだ。
「この番号を汚してはいけない。ただの普通の選手だったらランディに申し訳が立たない。そういう覚悟がすごくありました」
01年は重圧をはねのけて首位打者と盗塁王、さらにはMVPと新人王をダブル受賞。その後も数々の記録を樹立、偉業を成し遂げ、日本人野手の道を切り開いた。
球団はこの日、「51」の永久欠番を発表した。「サインする時に51がずっと使えるのはめちゃくちゃうれしい。51歳なんで、そのタイミングでこれはなかなか特別ですね」。照れ隠しの言葉で会見場の笑いを誘った。
多くの支えがあったから今がある。「まずは妻(弓子夫人)に感謝したい」。続けて「大きな影響を受けた存在」としてオリックス時代の恩師、故仰木彬監督の名前を口にして「人との出会いと少しの運。努力することは当然として、その2つが人生に大きく影響すると感じています」としみじみ言った。
23日にはニューヨーク州クーパーズタウンにある米国野球殿堂博物館でセレモニーが行われる。現役時代に7度も訪れているイチロー氏が米国で一番好きな空間だ。「プロ野球選手としての評価は最高。これ以上はないし、この後はない」。8度目は殿堂入りメンバーとして博物館の扉を開ける。
◇イチロー(本名鈴木一朗=すずき・いちろう)1973年10月22日生まれ、51歳。愛知県出身。現役時代は右投げ左打ちの外野手。愛工大名電から91年度ドラフト4位でオリックス入団。94年から7年連続首位打者。00年オフにポスティングシステムでマリナーズ移籍。メジャー1年目の01年に首位打者となりア・リーグの最優秀選手と新人王。2度目の首位打者となった04年は262安打でシーズン最多安打。12年7月にヤンキースへ移り15年からマーリンズ。18年マリナーズ復帰。19年現役引退後はマリナーズの会長付特別補佐兼インストラクター就任。06・09年WBC日本代表。