24日、東京・有明アリーナでプロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)に挑戦するWBO世界同級11位の金芸俊(キム・イェジュン、32=韓国)が、ボクシングの「聖書」と言われる米老舗専門誌ザ・リングに特集された。今月…

24日、東京・有明アリーナでプロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)に挑戦するWBO世界同級11位の金芸俊(キム・イェジュン、32=韓国)が、ボクシングの「聖書」と言われる米老舗専門誌ザ・リングに特集された。今月11日、当初の挑戦者だったIBF、WBO世界同級1位サム・グッドマン(オーストラリア)が昨年12月に痛めた左目上の裂傷を再発。リザーブだった金に白羽の矢が立っていた。

同誌によると、金は合宿先のオーストラリアでプロモーターのマイク・アルタムラ氏から連絡を受けた。元WBO世界バンタム級王者ジェーソン・モロニー(オーストラリア)とのスパーリングに備え、ロードワークをしていた時だったという。金は「素晴らしい瞬間でした。計画していたよりも長い距離を走らなければならないと思いました。挑戦のためにスケジュールをアップグレードした。最初は6キロ走っていたが、追加のコンディショニングが必要だと分かっていたので自動的に10キロ走りました」と回顧。「本当に興奮し、感謝しました。いつか井上選手と出会うかもしれないといつも感じていましたが、それが現実になったことは素晴らしいことだった」と気持ちを高揚させた。

韓国・ソウルで生まれ、5歳の時に施設に預けられ、孤児院で育った。学校では両親がいないことをからかわれたという。地元紙のインタビューでは試合前、学校の校庭でいじめられたことを思い出すと語ったそうだ。金は「デビュー戦後、試合するごとに昔の自分が消え去り、徐々に世界クラスのアスリートになっていくのを感じていた。今では完全なプロボクサーだと思う。ボクシングは私に集中力を与え、人生で最も厳しい苦難を乗り越える助けになりました」と明かした。

アマチュア経験がなく。名門市立大を中退して20歳からボクシングをはじめた。ユーチューブでチェックしていた元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米国)、元世界6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン)の動きをみてトレーニング。当時の愛称は2人の名前を合わせた「パッキウェザー」だった。

14年にはWBCユース・スーパーバンタム級王座を獲得。その後、WBOとIBFの地域王座を奪うなど、着実に世界ランクを上げてきた。金は「しかし私の国ではボクシングの支援がほとんどない。厳しい状況。かつてはとても強いスポーツとして認識されていたが、今ではサッカー、バスケットボール、野球など他スポーツに重点が置かれている。いつか私の国がボクシング大国として知られるために変化に貢献できればと思う」と語った。

22年にオーストラリアで指導を受けるジョン・バスタブル・トレーナーと出会った。これまで右ひじ、右肩腱板(けんばん)の手術を乗り越た金は「けがから完全に回復し、それが最近2試合に反映されていると思う。ボクサーとしても成長し、賢くなっていると感じいている。自分は攻撃的なカウンターパンチャーで多彩なスタイルがある。足を使い、ディフェンスするのも好き。必要に応じて攻撃することもできる」と自信を示していた。

孤児院出身でアマ経験のない「たたき上げ」ボクサーが、最強のファイターと対決する。金は「厳しい瞬間もありましたが、いつかチャンスが来るという希望を常に持ち続けてきました。そして今、そのチャンスが到来した」とコメント。ザ・リングは「最初は単なる夢だったものが、今では現実になっている」と金芸俊の特集を締めていた。